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カルシウムとマグネシウムが豊富な天然水は、腸を元気にし病気になりにくい体をつくる【藤田紘一郎先生の水で健やかVOL.13】

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「良い水を求める世界の旅」と名付けて、いろいろな国の飲料水を調査したところ、長寿者が多いヒマラヤの高原地域に暮らすフンザ族や南米の奥深い高原地域に住むビルカバンバの人たちは、カルシウムを多く含む、弱アルカリ性の水を飲んでいたという話を以前しました。また、前号ではマグネシウムを含む天然水が心臓病になるリスクを下げるという話をしました。

今回は、カルシウムとマグネシウムを多く含んでいる水を飲んでいると、腸を元気にし、病気になりにくい体にする、という話をしたいと思います。

腸を元気にするために

女性

腸は人体で最大の免疫器官です。免疫の7割は、腸が築いています。免疫とは、私たちが健康で若々しく生きるために備わった体内システムです。具体的にお話しすると、免疫とは外敵から体を守り、病気になるのを防いだり、かかった病気を治そうとしたりする機能のことです。

免疫の働きとしては、風邪や食中毒を防ぐ「感染防衛」があり、「健康のサポート」や「老化、病気の予防」があります。がんやうつ病などの病気を防ぎ、治すのも免疫の力です。また、免疫は「生きる力」にも大きく関与しています。

私たちが医薬を遠ざけて若々しくあり続けるには免疫の働きが特に重要です。そして、免疫力を高めるには、免疫の最大器官である腸を鍛え、元気にすることが欠かせないのです。

腸を元気にするには、植物繊維の豊富な野菜を食べることです。腸にすむ、私たちの大切な共生菌である腸内細菌を活性化するため発酵食品を食べることも必要です。しかし、これらにも増して、腸粘膜を健康にする水を与えてあげることを忘れてはなりません。腸は良い水が入ってくると、それだけで働きを活発にするからです。

腸をつくる生きた天然水

天然水

腸を元気にする水の条件はいろいろあります。まず、第一の条件は、天然の生きた水であることです。今、ペットボトルに詰められてたくさんの水が売られていますが、すべてが「天然水」とは限らないことを、私たちは知らなくてはいけません。

ペットボトル詰めになって売られているからと言って、すべての水が腸を元気にする水とは限らないのです。

水を購入する際には、必ずラベルを確認してください。美辞麗句を並べ立てた宣伝文句に惑わされないためには、宣伝文句以外のラベルの数値など、情報を見極めて選ぶことが大事です。

「体をつくる水」は、品名に「ナチュラルミネラルウォーター」と記載されたものです。

農林水産省が発表している「ナチュラルミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」によれば、ナチュラルミネラルウォーターとは、特定の水源から採水された地下水を原子とし、地層中のミネラルが溶け出している水のことです。水の健康作用を決めるのは、この天然のミネラルにあります。

また、日本においてナチュラルミネラルウォーターと名乗れる水は、抗菌を目的とした処理の仕方も規定されています。沈殿、ろ過、加熱殺菌以外の物理的、科学的な処理を行った水は、ナチュラルミネラルウォーターとは名乗れないことになっています。

さて、ここで腸を元気にする、水の第1条件を思い出してください。「天然の生きた水」でした。つまり、腸を元気にして人体の免疫力を高める水の条件は「加熱殺菌していない水」であるということです。沈殿やろ過などの処理ならば問題ありませんが、加熱殺菌してしまうと、水の組成が変わり、生理活性が失われてしまいます。

水のおいしさの決め手となる酸素も二酸化炭素も失われてしまいます。加熱によって、せっかくの生きた水が死んでしまうのです。ですから、天然水を選ぶ際には「非加熱」と書かれていることが重要なポイントです。非加熱の生きた水こそ、腸を元気にする水なのです。

カルシウムとマグネシウムを含む水の作用

水を飲む女性

腸を元気にする水の第2条件は、カルシウムを程よく含む水であることです。カルシウム含有量もラベルに記載されています。

カルシウムには、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発化する働きがあります。蠕動(ぜんどう)運動とは、腸が内容物を前へ前へと押し出す運動のことです。私たちが食べたものは蠕動(ぜんどう)運動によって腸内を進みながら、必要な栄養素や水分を消化吸収していくのです。

この蠕動(ぜんどう)運動が活発になり、腸の動きが良くなると、免疫機能も活性化します。腸にある免疫組織が刺激され、動き出すからです。免疫の働きが活性化すれば、病気をしにくい若々しい体が築かれていくことになります。

腸を元気にする第三の条件は、マグネシウムを程よく含むことです。マグネシウムの含有量もラベルに記載されています。マグネシウムには、大便を軟らかくする作用があります。これによって排便力が高まります。

腸にとって困ることの一つは、大便が大腸に詰まってしまうことです。便秘になると、腐敗菌である悪玉菌が腸内に異常繁殖してしまい、腸内環境を荒らしてしまいます。便秘の人は大腸がんになりやすいのもこのことが関係していると思います。増えすぎた悪玉菌が腐敗物質を発生させ、大腸の細胞を傷つけ、がん細胞へと変質させてしまうからです。

しかし、マグネシウムを含む水を飲むと、腸は排便力を高めることができます。腸から汚れた腐敗物質がなくなれば、免疫力が高まり、多くの病気や老いが防げるのです。

私たちは毎日少なくても2・5ℓの水を排出し、2・5ℓの水を新たに補っています。この時、体に良い水を補うのと、悪い水を補うのとでは健康を保つうえで、ずいぶん差が出てきます。

カルシウムとマグネシウムを含んだ天然水を毎日飲んでいると、腸が元気になり、がんをはじめ、認知症までいろいろな病気になりにくい、免疫力の高い体がつくられていくのです。

藤田先生のウォーターレシピ

【水】腸を元気にするために:アルカリ性の中硬水

【飲み方】1日1.5ℓ~2・0ℓをチビリチビリ飲む

藤田 紘一郎

東京医科歯科大学名誉教授

著者紹介

藤田紘一郎

藤田紘一郎 (ふじたこういちろう)1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。
金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。

1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を授与。
2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉章を受賞。

主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)『脳はバカ、腸はかしこい』(35館)、
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(ワニブックス【PLUS】新書)などがある。

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