糖尿病を改善する水
加齢とともに新陳代謝の力が衰えてきて、老化や病気が増えてくることを前号で述べました。加齢とともに増えてくる病気に糖尿病があり、現在日本人の5人に1人が糖尿病もしくはその予備軍となっております。糖尿病にならないために、あるいはなっていても糖尿病を改善するためにはどんな水を飲めば良いのでしょうか。
糖尿病を改善する水
まず、新陳代謝を活発化するアルカリ性の水を飲むことです。次に、膵臓(すいぞう)にあるβ細胞を障害する活性酸素を抑える作用のある「抗酸化水」を飲むことです。そして、最後にバナジウムを含む水が糖尿病の改善に期待できる水なのです。
バナジウムとは、灰色に近い銀白色の鉱物です。色がさまざまに変化し、その発色がとても美しいことから、スカンジナビア神話の「愛と美の女神バナジス」にちなんで、バナジウムと命名されたということです。
バナジウムは、玄武岩層を通り抜けてきた水によく含まれています。特に、富士山の周辺で採水された水にバナジウムが豊富に含まれていることは有名です。玄武岩層のマグマによってつくられた富士山の地層は、良質なバナジウムを含有しています。その地層を通って湧き出た水には、良質のバナジウムが溶け込んでいます。
なぜ、天然水に含まれるバナジウムが、糖尿病の改善に期待されるのでしょうか。
愛媛大学医学部の奥田拓道前教授によれば、「五酸化バナジウムは、脂肪細胞に血液中の糖を導くという、インスリンのような作用を持っているだけでなく、血糖値をあげる原因にもなる遊離脂肪酸の分解を促進する作用も持っている」としています。
天然水に含まれるバナジウムは、ほとんど水中では、この形になっていると、安定して存在できるからです。
肥満の人の血液中には、遊離脂肪酸という脂質が多量に放出されています。この遊離脂肪酸は、インスリンの働きを悪くし、細胞の糖が取り込まれるのを邪魔する働きがあります。これによって、血糖値が上がってしまうわけです。
ところが、五酸化バナジウムには、遊離脂肪酸が血液中に放出するのを抑える作用があり、その結果、高血糖症にならないように働いているわけです。その上、五酸化バナジウムはインスリンのように、細胞への糖の取り込みを助ける作用があります。
このようなバナジウムが持つ二つの作用によって、バナジウムを含む水を飲み続けると糖尿病になりにくい体になり、糖尿病になっていても症状が改善されるというわけです。
活性酸素を中和する
三重県奥伊勢の水を飲みに、私は現地を訪れたことがあります。のどかな田園風景を眺めつつ、木々の茂る山道を車で上っていくと、山深いところに湧水地があります。
この水を飲むことによって、体調がよくなり、糖尿病や高血圧、高脂血症が改善した人が多く、遠くは東京、近くは大阪、名古屋などから、ポリタンクを持った人たちが大勢集まっていました。
この湧水地の近くの鍾乳洞を利用して、飛矢和司さんという人が美術館を開いています。この美術館には彼が集めた東南アジアの仏像が所せましとおかれています。彼はその隣に衛生的な環境で採水場を作ったのです。
この採水場には、飲料水を求めてたくさんの人が集まってきますので、飛矢さんはこの人たちを対象にアンケートを行いました。300名の人に答えてもらい、病気の改善効果をまとめたところ、次のような結果が得られました。
「病気が改善した」と答えた人の内、糖尿病が良くなった人は78人、高血圧は77人、便秘60人、肌荒れ改善37人、風邪35人の他、高コレステロール血症29人、アトピー26人、カルシウム欠乏症23人、骨粗しょう症20人、そして、肝臓疾患9人、動脈硬化症7人、がん5人、胃腸内不定愁訴4人と、多くの病気が改善したという結果が得られたのです。
なぜ、三重県の奥伊勢の水を飲むとこんなに多くの病気が改善されたのでしょうか。
この水を研究しているのが、九州大学の白旗寛隆教授です。白畑教授の発表によれば、三重県奥伊勢の水は、活性酸素を中和する還元力が長(た)けていることが示されました。その作用は「奇跡の水」として有名な、南フランスのルルドの水よりは幾分低いものの、ほかの有名な天然水よりもずっと高いものでした。
「奇跡の水」「エネルギーのある水」
この研究において、比較対象とされた水には、メキシコのトラコテの水とドイツのノルデナウの水もあります。この二つの水も「奇跡の水」として世界的に有名な鉱水です。メキシコのトラコテの水は、本格的な研究はされていないものの、現地の人たちには「エイズも良くなる」と知られている水です。
ドイツのノルデナウの水は、1992年に発見されて以降、「エネルギーのある水」と口コミで瞬く間に広がり、現在では年間約50万人を集めるほどの大人気ぶりです。医師のツビグニュ・ガデック博士は、ノルデナウの水を日常的に飲むことによって、411人の生活習慣病患者の病気が改善されたことを臨床試験によって明らかにしています。
トラコテの水とノルデナウの水に共通するのは、還元力が高いことにあります。その高い作用によって、体内で発生する活性酸素の害を減らすことが、病気の改善に役立っているのでしょう。実験してみると、三重県奥伊勢の水は、世界の「奇跡の水」よりも高い還元力を示すことがわかりました。
また、白畑教授はラットを使って、細胞への糖の取り込みが水を飲むことによってどのように変化するのかも調査しています。結果は三重県奥伊勢の水は、細胞へ糖を取り込む作用が高いことが示されました。
超純水を基準として考えると、三重県奥伊勢の水は、糖取り込み促進効果は超純水の1.5倍にもなったのです。インスリンの糖取り込み促進効果は、1.3倍ですので、この水の糖取り込み効果はインスリンより優れていることが分かったのです。
日本にも、たくさんの銘水があり、健康効果の高い水は他にもあると思います。しかし、科学的根拠が照明された水は少ないのです。今後、水の持つ健康効果についてさらに研究をすすめてみたいと思います。
藤田先生のウォーターレシピ
【水】糖尿病を改善する水:抗酸化力のある水、バナジウムを含む水
【飲み方】
1日、1ℓ~1・5ℓをちびりちびり飲む。
藤田 紘一郎
東京医科歯科大学名誉教授
著者紹介
藤田紘一郎 (ふじたこういちろう)1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。
金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。
1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を授与。
2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉章を受賞。
主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)『脳はバカ、腸はかしこい』(35館)、
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(ワニブックス【PLUS】新書)などがある。
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