肌のアンチエイジングに役立つ、美肌づくりの水2 ~雪どけ水・氷結水が細胞を若返らせる~【藤田紘一郎先生の水で健やかVOL.17】
さて、前回美肌をつくる水について、お話ししました。四つの条件、「カルシウムの豊富な水」、「還元力のある水」、「若返りの水」、「疲れをとる炭酸水」のお話です。
今回はその中の「若返りの水」について、さらに詳しくお話ししたいと思います。前回少しお伝えしましたが、土地によって住む人のかたぎは違うものです。人と情報の移動が少なかった時代ではなおのこと、土地によってかたぎの違いは強かったのです。
雪少なければ千害あり
北国の女性は色白で美人だということは、誰でもが持っているイメージです。ではこれはなぜなのでしょうか。
その秘密は雪どけ水にあるのではないかと私は考えています。雪や氷がとけた後の水には、若返りの効果があると前回お話ししました。今回はもっと詳しくお話しいたします。
日本には「雪少なければ干害あり」ということわざがあります。この言葉は、積雪量の減少が水資源の枯渇を招くことを表しているだけではないでしょう。雪が多かった年は、農作物の収穫が増え、若木の成長が早くなることを、昔の人は経験上知っていました。その不思議な力は、雪どけ水から来ていることに気付いていたのです。
なぜ、雪どけ水には、人も植物もいきいきと成長させ、若返らせる効果があるのでしょうか。その秘密は水の構造に隠されています。
「雪解け水」の性質
通常、生の水は、水分子が水素結合した五員環構造をしています。五員環とは、分子の中で5個の原子が水素結合した構造のことです。ところが、雪どけ水は六員環の構造をしています。この六員環という水分子は、とても生理活性が強いのです。
ハンガリーのノーベル賞医学者A.Sジェルジ博士は「結晶化した水が生命の母体である」と話しています。雪や氷がとけた水には、六員環の水分子が残っています。
博士は、雪どけ水の若返り作用について、「氷のやわらかな格子空間に生体分子を包み込むと、滞在的な生命機能を保ったまま、生体分子を理想的に配置するのだろう」と雪どけ水の機能を説明しています。
つまり、生理活性の強い六員環の水分子が体内に入ってくると、細胞レベルからの若返りを図れる、ということです。言い換えれば、老化とは体内にある水が氷の構造を失った結果と見ることもできます。
体内の細胞間にある水の分子配列が、氷と異なるものに変化し、その劣化した水の作用によって生体分子が破壊されることにより、老化が起こってくると説明できるのです。
また、ジェルジ博士は、雪どけ水の効果について、こんな風にも話しています。
「新鮮な雪どけ水を飲むと、これに含まれている20オングストロームという大きさの氷状構造の水が食道壁を通過して、人のさまざまな機関に入り込む。それによって体の中の生体分子が活性化され、体全体に若返らせる力が与えられるのだろう」と、話しています。
なお、劣化した水は、分子が五員体をしています。環状をした水の分子は、煮沸したり、消毒したりすると構造が壊れ、バラバラになってしまうのです。この状態になると、水の活性はほとんど失われてしまいます。
若返りの水の作り方
今、日本でも豪雪地帯から採水された雪どけ水がいろいろ売られています。しかし、雪どけ水の活性は、残念ながら雪がとけた後5日間で消えてしまうことがわかっています。つまり、5日もすると、六員環の水分子が五員環に戻ってしまうからです。
ですから、雪どけ水の若返り効果は、購入した水からでは得にくいことになります。しかし、若返りの水を自分で作ることができます。しかも、とても簡単ですので、ご紹介しましょう。自宅の冷凍庫を使って、氷をつくり、それを溶かして飲めばよいのです。
私が考案した「若返りの水 氷結水」の作り方を説明しましょう。
- ( 1 ) 平らな容器に水道水を入れます。
- ( 2 ) 冷凍庫で水を半分凍らせます。
- ( 3 ) 水の真ん中を割り、凍っていない水を捨てます。
- ( 4 ) 薄く透明に凍った部分をコップに入れ、溶かせば出来上がりです。
水道水を半分だけ凍らせて、凍らなかった部分を捨てるのには、理由があります。水道水は最後まで凍らせると、その氷の中央は白くなります。白濁したこの部分には、塩素やトリハロメタンなどの不純物が含まれます。水は、冷却すると純度の高い部分から凍っていくため、不純物を含む部分は白くなって中央に残るのです。
この不純物まで一緒に飲んでしまったのでは、せっかくの若返り効果も台無しです。そのために、半分だけ凍らせたら、凍らなかった部分は捨ててしまった方が良いのです。
氷結水は生ものと一緒です。水の中に六員環の水分子がたくさん残っているうちに飲みきってしまいましょう。簡単にできますから、毎日作ってコップ一杯飲んでおくと、若返り効果を期待できると思います。
この世には「魔法の水」と呼ばれる水が数多く存在します。なかには怪しげなものもありますが、奇跡を思わせる水があることも確かです。水の研究を深めるにつれ、何度も水の不思議な性質に遭遇し、そう確信するようになりました。
その奇跡の水の一つが雪どけ水です。雪どけ水、あるいは氷がとけた水は生物を活性化する力があります。北極では氷がとけた海水の中でプランクトンの異常な増加が認められていますし、旧ソ連の学者たちによって、雪どけ水が種子の発芽を早め、植物の成長を促進させ、鳥のヒナの成長を早めた、といった報告もされています。
日本にも古代から、雪どけ水を飲むと若返ると言われる「変若水(おちみず)の信仰」があります。また、雪どけ水には二酸化炭素と酸素が多く溶け込んでおり、これが東北美人の白くて滑らかな肌をつくるのではないかと思われるのです。ぜひ、冷凍庫で氷結水をつくってみてはいかがでしょうか。
藤田先生のウォーターレシピ
【水】肌の若返り効果:氷結水
【飲み方】作りたての氷結水を冷たさが保っているうちに飲みきる。
藤田 紘一郎
東京医科歯科大学名誉教授
著者紹介
藤田紘一郎 (ふじたこういちろう)1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。
金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。
1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を授与。
2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉章を受賞。
主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)『脳はバカ、腸はかしこい』(35館)、
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(ワニブックス【PLUS】新書)などがある。
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