美しさと若さを保つシリカ水
この40年間、70カ国以上の国を旅する中で、私は多くの水と出会い、水がヒトや環境に与える影響の大きさを知りました。
カルシウムの豊富な弱アルカリ性の水は、健康寿命の長い民族を作りました。ミネラルが少なくて飲み心地の良い軟水は、勤勉でやさしい農耕民族を作りました。
酸性の水が流れる土壌では、真っ青なアジサイの花を自生させていました。カルシウム含有量の多い硬水地域では、肉料理やコーヒーなど水の性質を生かしたおいしい料理や飲み物が盛んでした。
日本にも、健康効果の高い良質の水がたくさんあります。今、私が日常的に気軽に飲んでいる水は宮崎県小林市、北霧島山系のシリカ水です。
宮崎県の北霧島と言えば、日本神話の舞台として、あるいは霧島温泉が有名です。ここから湧き出る水は、シリカ(ケイ素)がたっぷりに溶け込んでいることが最大の特徴です。
シリカとは
シリカは古くから地球上に存在する物質で、ケイ素とも呼ばれているものです。土や海水の中にも存在するものなので、キビや小麦、海藻やあさりなどにも豊富に含まれています。
シリカは人間の生命維持に必須の微量ミネラルであり、体内におよそ18gを有しています。人間においては骨や髪の毛、爪、皮膚を形成するのに働き、不足することでさまざまな症状が出てしまいます。
加齢とともに体内量が減少してしまう傾向があり、1日に10mg程度を目安に補給していかないといけません。
シリカの代表的な三つの働き
シリカは美容や健康に良いと言っても、具体的に体内でどのような働きをしてくれているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
コラーゲンの生成を助ける
コラーゲンは美肌に欠かせない要素として有名ですよね。食事でも気にして摂取している方が多いのではないでしょうか。
シリカは体内中でもっとも皮膚に多く含まれており、コラーゲンの生成を助けています。具体的には肌に弾力をもたらすエラスチンとコラーゲンとをくっつけるセメントのような働きをしています。
このコラーゲンとエラスチンのつながりが強固なものでないと、お肌の保水力が低下し、シワやたるみの原因を作ってしまいます。
頭皮も皮膚の一部であり、何の対策も講じないと、頭皮のコラーゲンも減ってしまうことになります。そうなると、頭皮は柔軟性や弾力性、保湿性を失い、毛母細胞を育てる力をなくしてしまいます。最近の報告では、コラーゲンの摂取が髪の毛を太くするという報告もされています。
ただし、コラーゲンはサプリメントやドリンクなどで摂取するよりも、体内にて、生成する力を高める方がよほど大事です。コラーゲンはたんぱく質の一種で、アミノ酸という最小分子によって形成されています。口から摂取したコラーゲンは腸にてアミノ酸に分解されてから体内に吸収され、必要な部位に届けられて、たんぱく質として再形成されます。つまり、口からとったコラーゲンがそのまま頭皮や皮膚に働くわけではないのです。
ですから、体内のコラーゲンの生成力を高めるためには、シリカが欠かせません。ところが、シリカは、体内で生成できないばかりか、成人で1日あたり10~40㎎ずつ消耗されていくことがわかっています。それを補うためにも、シリカを含む飲み物や食べ物を毎日とることが、毛髪力や美肌をよみがえらせるうえで必要になってくるのです。
骨トラブルを防ぐ
シリカは骨密度を高めるのに有効な成分でもあります。逆を言えば、不足してしまうと骨粗しょう症の原因に直結するような大切なミネラル分です。血管内に多く含まれていて、カルシウムを骨まで運搬し、ミネラル形成をどんどん促進していきます。
人間年をとると、軟骨成分が減少し膝や腰に痛みが現れます。ですがシリカをきちんと摂取していれば、身体自体の吸収力は衰えているものの、軟骨成分の減少は抑えることができます。
若いうちから意識的にシリカを取って、骨密度を高めていきましょう。
髪や爪を美しく保つ
シリカは、体のいたるところで組織と組織をつなぎ留める役割を果たしています。
髪や爪もコラーゲンと同じタンパク質でできているため、シリカによって組織が束ねられ、枝毛や切れ毛、爪にできる線などを防いでくれます。
今やヘアサロンのトリートメントにもシリカ入りのものが採用されることがあり、カラーやパーマによる髪のいたみを和らげる狙いで使われているそうです。
シリカは毎日消耗されていく!
このシリカは体内で合成することはできません。外部から食品や飲料水などにより、摂取することしか、シリカを増やす方法はありません。そして、シリカは成人で1日当たり10から40㎎ずつ消耗されていくのです。
シリカはアワや玄米などに多く含まれています。昔の日本人はアワや玄米を日常的に食べていましたが、現在の暮らしではこうしたものを口にする機会が減っています。これが日本人のシリカ不足を招いている原因だとされています。
シリカはバナナやほうれん草、レーズンなどにも含まれています。シリカを効率的に摂取するためには、シリカを含む食べ物を取ることも大事ですが、シリカを含む水を毎日飲むことが重要です。
天然水に溶け込んでいるシリカは、イオン化されているため、体内への吸収力が優れているのです。
シリカ水は美容の世界でも今、注目されています。ハリウッドスターが「美の水」として愛飲していることで、最近ずいぶん話題になりました。
私自身がシリカ水を飲むようになって、一番、変化に驚いているのは、髪がフサフサになったことです。
50代はハゲかかっていたのに70代の今は髪が増えています。シリカは、髪の毛の育成にもかかわっていることがわかっています。
シリカを含む水は、海外の物もありますが、国内にも良質のものがたくさんあります。四国のカルストから湧き出る水もシリカの含有量の多い水です。世界で最もシリカ含有量の多い水は北海道の利尻島で湧き出る水でした。
シリカ100㎎/ℓという高濃度でしたが、東日本大震災以降、シリカの量が激減していることがわかりました。湧水の天然成分は自然環境の変化で大きく変わることが今回の震災で実感できたのです。
シリカの入った水で、美しく健康に。
シリカは私たちの生命活動において大事な働きを担っていることが最近の研究でわかってきました。
その働きの重要性と言えば、健康寿命に有効であるということです。それでは、なぜ、水に溶け込んでいるシリカが、私たちの健康寿命に役立つのでしょうか。
私たちの体は、約60兆個もの細胞によって構成されています。
一つ一つの細胞は目には見えませんが、微細な細胞の健全さと強さで、人体の健康状態は違ってきます。その細胞壁を強化する働きが、シリカにはあるのです。
特にシリカを多く含むのは、骨形成の細胞層です。そのため、シリカの摂取は、骨密度や軟骨組織の強化にも期待でき、骨粗しょう症の予防にも役立つと考えられるのです。
また、シリカには血管の弾力性を保つ効果もあります。脳梗塞や心筋梗塞などは血管が硬くなる動脈硬化から起こってくる病気です。
健康寿命は血管の弾力性の高さが重要なので、シリカを日常的に摂取していると、血管の弾力性が増し、血管年齢が若返るというわけです。血管に弾力が出てくれば、脳梗塞や心筋梗塞になる危険性は低下します。
反対に動脈硬化の人は、シリカが不足しているのです。シリカは血管の弾力性を保つ大切なミネラルというわけです。
シリカはどうやって取るの?
シリカはさまざまな食材に含まれるミネラル分であることはすでに説明しましたが、実際に摂取するにはどのような方法があるのでしょうか?
食事で摂取する
実は食べ物からシリカを摂取するのはあまり向きません。
理由は現代人の食文化とミネラルの吸収率です。
シリカを多く含んでいるもので代表的なのは、小麦や玄米などの穀類ですが、消化での吸収率は悪いと言われています。
加えて現代は豊富な食事メニューがありますから、同じものばかりを食べるわけにもいきませんよね。総合的に見てあまり向かないのです。
サプリメントで摂取する
サプリメントでの摂取もとても効果的です。最近ではコロイド状のゲルタイプのものも増えてきて、より身体への吸収率が意識されている商品が多くなっています。
サプリメントならではの手軽さも大きいですよね。1回1,2錠で済んでしまいますから。薬同様、食後に飲むことで、効果を最大限に生かすことができます。
ただし、サプリメントのデメリットとして、コストが挙げられます。
お手頃なものは1カ月分を1000円前半の金額で購入できますが「シリカを摂取する」という目的だけに毎月出費をするのを考えると、手が出しにくいものです。
シリカ水を飲む
やはり、もっとも簡単で効率のいい方法はシリカを含んだ水を飲むことです。
シリカの必要摂取量は成人で1日10mgほどですが、シリカを含む天然水は多いもので1Lあたり40mgほどの含有量があります。
また、水に溶け出した状態で摂取することで、体内への吸収率も食べ物と比較すると飛躍的に高まります。寝起きや就寝前、入浴後など習慣付けができれば理想的ですね。
シリカ水なら、お水そのものを飲み水として使うのはもちろん、珈琲や紅茶、お米を炊く際のお水をシリカ水に換えるだけで、生活に直結して取り入れることができます。
普段からミネラルウォーターを利用していた人なら、なおさら苦なくシリカ水を取り入れることができるのではないでしょうか。
シリカの含まれたおすすめのお水
シリカを含む天然水は、いろいろあります。有名なのは、ハリウッドスターが愛飲していると知られているフィジーウォーターでしょう。国内にも、良質なシリカ水はいくつかあります。九州の大地から湧き出す天然水には、シリカを含む水がよく見られます。シリカの含有量は採水地によって違ってきます。
今、日本で最も高濃度のシリカを含有している水が、現在、私が飲んでいる宮崎県小林市のシリカ水です。
小林市のシリカ水はシリカの含有量が97㎎/ℓと、国産の水ではシリカ含有量が最も多かったのです。シリカ含有量がここまで多いものは珍しく、私はこの水に出会った時は感動しました。
この宮崎県小林市の水はシリカの他に、カルシウム31㎎/ℓ、マグネシウム14㎎/ℓで硬度133.5の硬水ですが、硬度が極端に高くない、日本人には飲みやすい中硬水です。
そして、活性酸素の働きを抑制する炭酸水素イオンが170㎎/ℓも入っています。活性酸素は老化や脳梗塞などいろいろな生活習慣病の元凶となっていますので、この水を飲んでいるとこれらの病気を予防できるというわけです。
この水の特徴は美と健康に欠かせないシリカの他バナジウムやサルフェートがすべてそろって高濃度に含まれていることです。バナジウムは血糖値を抑える作用があり、サルフェートは解毒作用を有する物質です。
この水を飲んでいると糖尿病が予防でき、体にたまった老廃物を素早く体外に排出することができます。この水は、これらの希少ミネラルを高濃度に含み、世界を見ても珍しく、非常に希少性の高い天然水と言えるのです。
私たちは毎日2・5リットルの水分を入り変えていることは前に述べました。その時、体に悪い水を入れるのと、良い水を入れるのとでは健康状態が大きく違ってきます。
自分にとって、どんな水を飲むのが、健康や若さを保つうえで良いのか、考えてみることが必要です。
シリカをはじめバナジウムやサルフェートなどの希少ミネラルを含む水を毎日飲んでいると、美しさや若さを保つことができるのです。
藤田先生のウォーターレシピ
期待される効果⇒美しさや若さを保つ
【水】
シリカやサルフェートを含む水
【飲み方】
1日1~1・5ℓ摂取する
藤田 紘一郎
東京医科歯科大学名誉教授
著者紹介
藤田紘一郎 (ふじたこういちろう)1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。
金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。
1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を授与。
2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉章を受賞。
主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)『脳はバカ、腸はかしこい』(35館)、
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(ワニブックス【PLUS】新書)などがある。
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