超硬水はダイエットウオーター【藤田紘一郎先生の水で健やかVOL.6】
「肥満は万病のもと」とよく言います。太りすぎると、活性酸素が体内に充満した状態になるため、身体各部の細胞が傷つき、そこから病気を発症しやすくなるためです。
だからと言って、やせ過ぎが良いわけではありません。無理な食事制限や激しい運動など過剰な負荷をかければ、やはり活性酸素が大量に発生してしまうからです。
水飲みダイエット
肥満の人が健康的に適正値まで体重を落とすには、水の力を活用すると効果的です。この方法を私は「水飲みダイエット」と呼んでいます。
肥満になる最大の原因は、食べ過ぎです。1回の食事量を制限していたとしても、「小腹がすいた」と間食に走れば、やはり食べ過ぎになります。また、ほとんどの肥満者は、よくかまない、早食いといった癖を持っています。
こうした食習慣を改善するだけで、体重は好調に減っていきます。その時に役立つのが水を飲むことです。食事前や間食したい欲求がわいてきたら、すかさず水を飲みましょう。こうすると、空腹感や食欲を抑えることができます。
なぜ、水を飲むだけで満腹感が得られるのでしょうか。
水とダイエットの関係
食べ物が胃に入ってくると、胃酸の分泌量は減ります。これにより、胃の中の酸性度は一気に低下します。この信号が脳の満腹中枢を刺激し、私たちは満腹感が得られます。
水を飲むと、同様の現象が胃で起こります。水によって胃の酸性度が薄められると、それが脳に「満腹信号」として伝えられるのです。
食前に水を一杯飲んでおけば、満腹中枢が刺激されている状態で食事ができるので、「空腹感を早く解消しよう」と食事をかき込む癖が解消され、落ち着いてゆっくりと箸を動かせるようになります。また、間食したい気持ちを抑えるのにも役立ちます。
しかも、水を飲むとエネルギー代謝も活発になります。このことは、ドイツ栄養研究所のМ・ボッシュマン博士の研究で明らかにされました。
博士らは、健康で標準的な体重の男女14人を対象に、水を0・5ℓ飲んだ時のエネルギー代謝の変化を観察しました。その結果、水を飲んだ後は消費エネルギーが30%も高まったのです。その効果は、水を飲んだ後10~40分後にピークに達することがわかりました。
こうしたことを考えると、体重を落とすには水を飲むことが大事であることがわかってきます。
ところが、反対のことをやっている人が意外と多いことに気付きます。ダイエット時に水分の摂取を制限する人たちがいますが、これはダイエット効果がないばかりか非常に危険なことで、決してやってはいけないことなのです。
ダイエット時に水分を制限したために、脳梗塞を起こす人は珍しくないのです。脳梗塞は、体内の水分が失われ、脱水症状になった時に起こりやすくなります。血液から水分が失われると血液はドロドロとなって血の塊(血栓)ができ、血管が詰まりやすくなるのです。
おすすめの、水飲みダイエット
私のおすすめする「水飲みダイエット」の方法は、以下の通りです。飲む水は、硬度1000㎎/ℓ以上の超硬水を選びます。ヨーロッパでは痩身(そうしん)効果の高い水として超硬水を「スリムウォーター」と呼んでいます。ダイエットで使う超硬水もアルカリ性の水を選びましょう。
超硬水にはミネラルがたっぷり含まれています。食事制限するとミネラルの摂取量も減りがちです。そのため、ミネラル摂取量が減ると、体はミネラル不足を解消しようとして食欲を高めてしまいます。その結果、結局また太ってくることになります。
ミネラルがいっぱい入っている超硬水を飲むと、そんなことは起こりません。つまり、リバウンドを防ぐことになります。
その上、超硬水に多く含まれているカルシウムは腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にして、腸内にたまった脂肪を大便とともに押し出す働きがあります。また脂肪燃焼を促進するとともに、脂肪の吸収を抑える作用もあります。
カルシウムをしっかり取ると、体脂肪が減るという研究結果も得られています。カルシウムの豊富な水を飲むことは、ダイエット効果を高めてくれるというわけです。
水の温度は、10度程度にキリリと冷やしておきましょう。ダイエットには、冷やした水の方が効果的なのです。
37度の水より22度の水の方が、体のエネルギー消費量が増すことが、ボッシュマン博士の研究によって実証されています。エネルギー消費量の増加分のうち、約40%が水の温度を体温までに高めることに使われているからです。
ダイエット中に水を飲む量は、目標が1日2・5ℓ、汗をかく夏場は、3ℓ飲みましょう。飲み方は、起床時にまずコップ一杯飲みます。1日3度の食事前にもコップ一杯飲んでおきましょう。
ただし、食事中に飲む水は少量にしておきます。胃酸には消化吸収の他、食べ物に混ざった雑菌を殺す働きがあります。食事中に水を飲んで胃酸を薄めてしまうと胃酸本来の働きが弱くなってしまうからです。
残りの水は、日中、のどの渇きを感じる前にコップ半杯から一杯をチビリチビリと飲むようにします。一気に飲み干すよりも、チビリチビリとゆっくり飲んだ方が、体への浸透がよく、水の健康効果をより得やすくなります。
ただし、就寝前や就寝中に超硬水を飲むことはやめた方が良いと思います。こんな時には、体をゆっくり休めるために常温の軟水を飲んだ方が良いからです。
なお、私がおすすめする「水飲みダイエット」は腎臓に問題がある人や胃腸が弱い人には実践できないことをお断りさせてください。腎臓に問題がある人にはミネラル分の多い硬水を飲むことにより腎臓の負担が増えます。また、胃腸が弱い人は硬水や冷たい水を飲むと下痢が続くことがあるからです。
肥満で悩んでいる人は、ぜひ、硬水を使った「水飲みダイエット」法を行ってみてください。この方法でダイエットするとリバウンドなく、苦痛を伴わないで、しかも体に害も及ぼさないダイエットができるのです。
藤田先生のウォーターレシピ
起床時・3食毎食事前・入浴の前後・のどが渇く前にコップ一杯ずつ。
藤田 紘一郎
東京医科歯科大学名誉教授
藤田 紘一郎
東京医科歯科大学名誉教授
著者紹介
藤田紘一郎 (ふじたこういちろう)1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。
金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。
1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を授与。
2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉章を受賞。
主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)『脳はバカ、腸はかしこい』(35館)、
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(ワニブックス【PLUS】新書)などがある。
免責事項
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