身体における水の働きと水分バランスについて
人間の体の大半を占めている水分。水が体にどんな影響をもたらし、どんな働きを担っているのかをご存じでしょうか。
知っているようで意外と知らない水の働きや、人体の水分バランスをあらためて確認することで、日々行う水分補給の大切さがよくわかることでしょう。私たちにとって無くてはならない存在である水について、知っておきたい!基本的な知識をご紹介します。
人の半分以上は水分でできている!
人はほとんどが水でできていることは、多くの人がご存じかと思います。胎児は90%、子どもは70%、大人は60~65%が水分でできており、老人では50~55%が水分です。生涯、体の半分以上が水分で満たされていることがわかりますね。
体の半分以上を水分で占めているとなると、水分の働きは体に対して非常に重要な働きをしていることもわかります。
体の水分は細胞内液と細胞外液に分けられる
成人なら60~65%以上の水分できているわけですが、体のどこに存在しているのか気になりますよね。体内の水分は「細胞内液」と「細胞外液」に分けられ、水分の3分の2が体を構築している細胞内液に存在し、残りの3分の1は細胞外液と呼ばれる血液やリンパ液、細胞と細胞の間の「細胞間液」に存在しています。
身体における水分の働き
栄養や酸素を運ぶ重要な役割をもつ
体は栄養や酸素を循環させ、健やかな状態を保ちますが、その重要な運搬役となっているのが水分なのです。細胞外液である血液は栄養や酸素、ホルモンなどを運び、血液から排出された老廃物をリンパ液は回収し、体の外へ排出するようサポートしています。
また血液の半分を占めている「血漿(けっしょう)」をご存じでしょうか。血漿(けっしょう)には栄養が溶け込んでおり、91%が水分でできています。栄養や酸素を体の隅々まで運搬する重要な役割を担っているのです。体に栄養を運ぶのも、不要なものを排せつするのも水の働きがあってのこと。水分は生命を維持するために欠かせないものなのです。
水分は体温を調整する
体を構築する細胞内液と細胞外液に存在し、生命を維持するため体液の運搬役を担っている水分。体が正常であるためには欠かすことのできないものですが、体液の運搬や老廃物のろ過だけでなく、体温調節も行っているのです。
汗をかくことは体温調節のために重要な機能であることはご存じかと思います。熱をもった体を発汗させることで、水分を蒸発させ熱を逃がすのです。余計な熱をキャッチし、蒸気として体内から抜ける役割を担っているのも水分。体温を調整するためには水分が欠かせません。
発熱した際はもちろん、呼気や皮膚から約1Lもの水分を蒸気として体外に放出し、体温を一定に保ってくれています。
1日の水分摂取量と排出量
成人なら、1日に約1.2Lもの水分が尿として排出されています。少なくとも500mlは排出しないと体内の老廃物を出し切れないのです。1日で大きなペットボトル1本分の水分を排出していることになるため、その分新たな水分を取る必要がありますよね。
ちなみに運動などで汗をかいた場合はさらに水分を排出していることになるため、その分水分を摂取する必要があるのです。厚生労働省は1日に約2.5Lの水分を摂取することを推奨しており、水分不足による熱中症など、健康被害の予防を呼びかけています。
喉が渇いたと感じたら“危険信号”!
「喉が渇いたな~」と感じることは誰でもあるかと思います。実はこれ、危険信号を体が呼びかけているサインなのです。喉が渇いたと感じるころには水分がすでに不足しており、脱水を引き起こす一歩手前。
“喉が渇く前に水分を取る”というのが水分補給の理想です。1日に2.5Lもの水分を摂取しなくてはならないわけですから、一気に取るのは難しく、こまめな水分補給を行う必要があります。
水分がないと体内の老廃物をろ過できない
私たちは日頃から体の不要なものを“排せつ”という形で体外に出しているわけですが、体内の老廃物をろ過し、尿としてぼうこうへ送ってくれているのも水分なのです。血液中の老廃物をろ過するためには、毎日170~180mlの水分が必要になります。そのため水分が不足してしまうと十分にろ過できずに、老廃物が体内に蓄積してしまうのです。
また水分が不足している際には腎臓が水分量をコントロールし、尿の量を減らし濃縮させています。従ってトイレの回数が少なく、尿が濃いという場合も水分不足のサイン。水分が不足した場合や水分過多になった場合は腎臓が水分量をコントロールし、体の機能を保ってくれるようになっていますが、腎臓の負担を減らすためにも積極的に水分を補給したいところです。
まとめ
体温調節や老廃物のろ過、栄養や酸素の運搬など、生命維持のために非常に重要な役割を担っている水分。1日の排出量と摂取量の水分バランスを整えることは健康維持につながる大切なこと。お茶やコーヒーなども水分ではありますが、利尿作用があるとかえって排出量が増えてしまうこともあります。
そのため日常的に水を摂取する習慣を身につけましょう。ウォーターサーバーを設置するなど、摂取する方法はさまざま!喉を潤すのはもちろんのこと、体の機能を正常に保つため、水分を摂取する意味への関心を高め、自身の体に取り入れる水の選び方にも注目してみてください。