つかるだけが温泉じゃない!温泉水がもたらす効果・効能
「温泉」という単語を聞くと、心が浮き立つ、という人もいるのではないでしょうか。とくに「若いころや子どもの頃はそれほど好きではなかったけれど、大人になってから好きになった」という人もいるかもしれません。
身も心も温めるこの「温泉」ですが、これには、つかるだけでなく、「飲む」という方法があるのをご存じでしょうか。今回は、「飲む温泉」についてお話していきます。
温泉を飲むことによるメリットと効果・効能
温泉は、実はつかるだけでなく、飲むこともできます。そして温泉を飲料として取り入れることで、さまざまな効果や効能を得られます。
ただその「得ることのできる効果・効能」は温泉によって異なるのです。
たとえば「塩化物泉」と呼ばれるもの。これは便秘や萎縮性胃炎などを改善する効果があります。
炭酸水素塩泉には、胃十二指腸の潰瘍や、逆流性食道炎、糖尿病対策として使えるというメリットがあります。
硫酸塩泉には、高コレステロールに対抗する力や便秘、胆道系に効果があると言われています。
二酸化炭素が含まれた温泉は胃腸に効き、よう素を含んだ温泉は脂質異常に、硫黄の温泉は糖尿病と脂質異常というふたつの生活習慣病にきくと言われています。
これは、環境省も認めた効能であり、温泉水を飲むことが体によい影響を与えるというのは、間違いがないようです。
「これを飲んだらすべてのトラブルが解決する!」わけではない
もっとも、温泉の水を飲んだからといって、それですべての病気が治るわけではありません。これを飲んだからといって病気が完治するものではありませんし、「そもそもどこまで温泉の効果や効力を認めていいものか?」という議論にも決着はついていません。研究にもある程度バラつきがあると言われています。
ただこれは、温泉に限ったことではないでしょう。サプリメントにしろなんにしろ、「これですべてがよくなる」というようなものはないことを考えれば、ムリなのかもしれません。
また、日本においては温泉の研究はさかんに行われており、「開かれた研究」をしているのと同時に、高い専門性を誇る研究結果も出しています。そのため、温泉水は色々な方向性にかじを切るようなカテゴリーではない、と言えます。
温泉水の飲み方についての注意点
このように温泉水は、科学的な根拠はなかなかしっかりと出せないものの、一般的には「体によいもの」と解釈されるようになっています。
ただ、温泉水には飲み方に注意点があります。
上では、「温泉水の効能」についてお話ししましたが、同時に「この病気の人はこの温泉を飲んだらいけない」というものもあるのです。
まずナトリウムを含む温泉水。これは、腎不全や高血圧の人にとってはリスク要因となります。ナトリウムは、だれもが知るように、高血圧の危険因子の一つだからです。
次にカリウム。これも、腎不全を患っている人や、副腎皮質機能低下症を患っている人にとっては危険なものとなり得ます。
人間にとって有意義なミネラルとして知られるマグネシウムも、腎不全の人によくありません。また、下痢状態の人も取るべきではありません。
加えて人間の体にとって悪い影響を与えるものも温泉には入っています。ヒ素、フッ素、銅、鉄、水銀、遊離炭酸……。鉛やヒ素などの有害物質が代表例ですが、人を死に追いやる成分すらあります。
これらはすべて、「飲んでもいい限度量」が定められています。とくに「有害物質」の方は、健康な人が飲んでも危ないので注意が必要です。
温泉水を飲む場合、その摂取量には「目安」があります。1日の飲む量は、ペットボトル1本分まで。それ以上は飲んではいけません。またすでに持病を抱えている人の場合は、必ず医師の診察を受けましょう。
とくに上で書いたような病気を持っている人は、飲用の可否を医師に確かめることはもちろんのこと、自分自身でもその温泉の成分をしっかり勉強しておかなければなりません。
また当たり前の話ではありますが、温泉のなかには「そもそも飲用が禁じられている」というものもあります。温泉施設で、「飲んでも大丈夫」と明言されていない限り、勝手に飲むのはやめましょう。加えて温泉水というのは、きちんと加工していないもの以外は持ち帰って飲んではいけません。必ずその場で飲み切るようにします。また飲むのは食事の前(30分ほど)にしましょう。
おわりに
私たちの心と体を温めてくれる温泉は、飲んでも効果があるものです。もちろん薬のような作用はありませんが、温泉によって、さまざまな効果を得られます。ただし「飲んでいい温泉」と「飲んではいけない水」があるので注意しましょう。
ちなみに私が生まれてはじめて飲んだ温泉水は、九州の「関平鉱泉(せきひらこうせん)」の水でした。いろいろ試してみたいですね。