天然水に含まれる「マグネシウム」ってどんなミネラル?
硬水の天然水に多く含まれているミネラル分である「マグネシウム」。日本人にとって硬水はあまりなじみがないものであるため、人によっては、マグネシウムが大量に含まれた硬水を摂取するとおなかを壊してしまうことがあります。
ただマグネシウム自体は、人間の体にとって非常に有用です。今回はこのマグネシウムの働きと、不足した時に起こりうること、そして摂取するときのコツをお教えします。
カルシウムとも関係する!~マグネシウムの役割とは
マグネシウムを語るうえで、「カルシウム」は外せません。まずはこの関係から見ていきましょう。
カルシウムをとったときに、その調整役となるのがマグネシウムです。このためカルシウムだけをとったり、マグネシウムだけをとったりしても、体を健康に保つことが難しいと言われています。理想的な割合は、カルシウム2に対してマグネシウム1の割合です。
マグネシウムは、人間の体の代謝に大きな関わりを持っています。人間の体を保つために必要な酵素に関わっており、糖質の代謝においても非常に役立ちます。
マグネシウムのなかでも、とくに注目されているのは「骨を丈夫にする役割」でしょう。骨と深くかかわるカルシウム量の調整役として、骨にきちんとカルシウムが行き渡るようにしています。
またナトリウムとも関わっていて、高血圧を起こしにくくする役目もあります。現在では、高血圧と並んで評される危険な生活習慣病である糖尿病や脂質異常に対しても、マグネシウムが効果的に働くと言われています。
これに加えて、心を落ち着かせ、穏やかにさせる効能もあると言われています。
マグネシウムの1日の摂取量目安、そして過剰摂取について
マグネシウムの摂取量の目安は、年齢や性別によって異なります。
一般的には、男性の方が女性よりもたくさんのマグネシウムをとらなければならない、と考えられています。18歳~29歳の場合、男性ならば340ミリグラム、女性ならば270ミリグラムの摂取が求められます。30歳~49歳までは、男性は370ミリグラム、女性は290ミリグラムです。
50歳~69歳の場合は、男性が350ミリグラム、女性が290ミリグラムです。ちなみに、妊婦さんの場合は、この数値に加えてプラス40ミリグラムのマグネシウムをとることが求められています。
栄養素について考えるとき、必ず話題になるのが、「過剰摂取の問題」です。
ただマグネシウムは、「食品からマグネシウムをとる場合、その上限量を意識する必要はない」とされています。食品からとった場合、たとえマグネシウムの量が多かったとしても、それによる健康被害がなかったから、というのがその理由です。
ただしそれ以外からマグネシウムをとる場合は少し注意が必要です。さまざまな見解がありますが、これについては、「成人ならば1日に350ミリグラム以下」とされています。これ以上をとってしまうと、下痢などの症状がみられることもあります。
マグネシウムが不足するとどうなるか
このようにマグネシウムの場合、「過剰摂取」についてそれほど深く考える必要はありません。懸念すべきは、やはり、「マグネシウムの不足」の方でしょう。
マグネシウムが不足すると、心筋梗塞が起こりやすくなったり、血圧が上昇したりする可能性があります。またこの状態が長く続くと、筋肉がけいれんするようになります。発育不全も見られるようになりますから、お子さんのマグネシウムの摂取量にはとくに注意が必要です。
マグネシウムが不足することによって起こる症状は、肉体的な問題にとどまりません。精神が不安定になり、不安で胸が一杯になることがあります。また記憶や注意力が衰えたりすることもあるのです。
もっともマグネシウムは、通常の食事からでも十分に補えると考えられています。これは、日本人が昔から食べている海産物や豆製品などに、マグネシウムがたくさん含まれているからです。
しかし現在では食生活にも変化が起こり、今まではしっかりとれていたマグネシウムがあまり取れなくなってしまうという危険性も指摘されています。
マグネシウムが多く含まれている食品は、まずはなまこ。そして半乾燥させたしらす、豆みそと続きます。「あまり一般的な食べ物じゃない」「仕事が忙しすぎて、なかなか料理ができない」という人は、納豆を利用してください。100グラムで100ミリグラムのマグネシウムを持っています。
しらすと大根のあえ物、油揚げとアサリのみそ汁、納豆、貝の刺し身などの組み合わせにすると、マグネシウムをたっぷりとれます。
おわりに
カルシウムと深い関わりにあるマグネシウムもまた、「骨」に関わってくるものです。天然水で補おうとすると硬水を飲む方が効率がよいのですが、おなかをこわしてしまう、という人は、食品と組み合わせてとるようにするとよいでしょう。
とくに和食の素材として使われるものにたくさん入っています。塩分量を気にしつつ、和食を積極的にとっていくとよいでしょう。