脱水症状を緩和!経口補水液の効果・効能
「水で水分がとれる」というのは、当たり前の事実として知られています。ただそのなかでも、とくに「水分補給」に特化したものもあります。それが「経口補水液」です。今回はこの経口補水液について、「経口補水液とはどういうものなのか」「どういう性質を持ち、どのようなメリットがあるのか」「摂取するときの注意点」について見ていきましょう。
経口補水液とはまさに「保水のための水」です
水を飲めば、当然水分が補給されます。ただその効率にはばらつきがあり、経口補水液の場合はこの「水分の補給」に特化したアイテムだと言えるでしょう。
人間の体は脱水状態になると、電解質や水分が少なくなってしまいます。経口補水液は、その少なくなってしまった電解質や水分を補給するとともに、それが吸収されやすいようにする工夫がされています。人間の体がとりいれやすいブドウ糖の働きを利用しているのです。
経口補水液は、もともとは、「命を救うため」という目的で作られました。日本よりもずっと環境が厳しい発展途上国において、「水分が足りないこと」は死に直結します。それを避けるために、「すばやく、吸収効率のよい水分を」と考えて生み出されたのです。
その基本となる考え方(糖分と塩分を、水分と一緒にとることによって水分の吸収率を上げること)自体はずっと昔からありましたが、それが系統だって考えられ、かつ「数字上のデータ」として有効に活用されるようになったのは1971年からのことだと言われています。
日本では考えにくい病気である「コレラ」が、発展途上国のキャンプではやった際に、経口補水液によって患者の命が救われたそうです。死亡率は26パーセント以上低下し、経口補水液は文字通り「命の水」となったわけです。
この経口補水液は、その後世界中に広まっていきました。40年前にはまだまだマイナーなものでしたが、現在では非常に多くの人(とくに子ども)がこの経口補水液によって健康状態を改善しています。
経口補水液は現在、世界中で、「ただの水分」を超えた「人の命を救う水」として認知されています。
経口補水液のメリットとスポーツドリンクの違い
経口補水液は、上でも述べたように、電解質の濃度が高く、また吸収効率を高めるための糖分も入っています。
脱水症状を起こした人にとって極めて有用な選択肢となるのですが、これとしばしば並んで考えられる「スポーツドリンク」です。
スポーツドリンクは、文字通り、スポーツをしているときに飲みたくなるものです。経口補水液同様、電解質と糖分を含んでいます。しかしながらこちらの方は、経口補水液に比べると、糖分が高い飲み物です。スポーツドリンクは、500ミリリットルで30グラム以上の糖分がとれてしまう種類もあります。
このためしばしばスポーツドリンクは「ペットボトル症候群」と結びつけられます。これは、「毎日糖分濃度が10パーセント(8~10パーセント程度、とする説も)以上の飲み物を、1・5リットル以上飲み続けると、血糖値が急上昇する」という病気です。ちなみに「ペットボトル症候群」という名称がよく使われていますが、正しくは「清涼飲料水ケトーシス」です。
糖分を含んだ飲み物は甘みが強いので、飲んだらさらに喉が渇き、次々に飲みたくなることから、飲む量が増えてしまうというのがその理屈です。主だったスポーツドリンクのなかに濃度が10パーセントを超えるものはありませんが、「水がわり」に飲んでしまうと危険だと言われているのはこのためです。
ただしスポーツドリンクの存在自体が否定されるわけではありません。たしかにある程度のリスクはあるものの、スポーツ時の栄養補給としては有能ですし、一般的なコーラなどに比べるとその糖分濃度はやはり低めに抑えられています。
また商品や好みにもよりますが、スポーツドリンクは経口補水液よりもおいしいことも多いようです。
経口補水液摂取の際の注意点
このようなことから、「経口補水液は体によいものなのだ」と考える人も出てくるでしょう。
しかし経口補水液は、かなり「医療によった」製品であるので、取り扱いには注意が必要です。そもそも経口補水液は、「どれだけ飲んでもよい」というものではありません。塩分が多く含まれている飲み物ですから、飲みすぎは逆にリスクとなります。すでに糖尿病や腎臓病、あるいは高血圧を患っている人の場合はとくに、経口補水液のもつ糖分やカリウム、塩分が悪影響を及ぼしてしまう可能性が高いと言えます。
独断で飲むことはせず、医師に相談しましょう。
おわりに
脱水症状を緩和する優れた飲み物として利用されている「経口補水液」。スポーツドリンクとの対比はよく目にしますね。
ただ経口補水液は、「どれだけ飲んでもよい」「普通の水分と同じようにとれる」「とればとるほど健康になれる」というものではありません。付き合い方には注意が必要です。