ミネラルウォーターを加熱してもミネラルは残る?
ミネラルウォーターを日常的に飲んでいるご家庭も多いのではないでしょうか。
このミネラルウォーターについて、一つ疑問に思ったことがある人もいるかもしれません。
それが「このミネラルウォーターは、加熱したらどうなるのか」です。今回はこちらについて見ていきましょう。
ミネラルウォーター、加熱するとどうなるの?~「処理でミネラル分が失われる」という説
「ミネラルウォーターは、加熱してもミネラル分が残るのかどうか」―――-
このようなシンプルな疑問をもつ人もいるのではないでしょうか。しかし実はこのような単純な問いかけであってさえ、専門家の間でも見解が分かれます。
たとえば「加熱をすると、ミネラルウォーターに含まれている成分はなくなったり、変質したり、壊れたりするためミネラルウォーター本来の成分は残っていない」と主張するメーカーもあります。
彼らの多くは、「非加熱のミネラルウォーター」を打ち出しているところであり、この主張でもって、「非加熱のミネラルウォーターの方が、加熱処理をしたミネラルウォーターより体によい」と言います。
また「加熱処理をしたミネラルウォーターは、ミネラルウォーター本来の味を持ってはいない」としています。
「加熱処理をしても変わらない」という説もある
一方で、「加熱処理をしたとしても、ミネラルウォーターのなかのミネラルはなくならない。ミネラル分は、ビタミンなどとは違い、加熱の影響を受けるものではない」とする説もあります。
「ミネラルウォーターのミネラルは、加熱しても失われない」という主張にも、「ほかのミネラルウォーターのミネラル分は失われることがあるが、自社製品のミネラルウォーターのミネラルは変化しない」という説と、「一般的なミネラルウォーターのミネラル分は変化しない」という説の2通りがあります。
「特定の商品、特別な商品だからこそ、ミネラル分は加熱しても残る」といったものと、「基本的にはミネラルウォーターのミネラルは変化しない」といったものの2通りがあり、これも統一されていません。
このように考えると、「ミネラルウォーターのミネラル分が、加熱によって変わるのか変わらないのか」については、各メーカーによって見解が異なると言えるでしょう。
一つ言えることは、「加熱を続けると結晶化することがある」というもの
ただいずれの説に立つにせよ、「ミネラルウォーターをどんどん加熱していくと、ミネラル分は結晶として残る」というのは事実です。
日本の水は軟水ですが、エビアンやコントレックスなどのような「硬水」も、スーパーで簡単に手に入れることが可能です。これらの硬水は、軟水に比べて非常に多くのミネラル分を含んでいます。
このような「硬水のミネラルウォーター」の場合、加熱をし続けると、ミネラル分が白く残ることがあります。ミネラルウォーターのなかに含まれるミネラル分が、「水」を失うことによって、はっきりと白い塊で出てくることがあるのです。
ちなみに名古屋市消費者センターが試してみたところ、かなりおもしろい結果が出ました。軟水の場合は、水分のうちの5パーセント程度が蒸発しただけでは何の変化もありません。
しかしながら硬度が342の硬水を同じように加熱して調べたところ、5パーセント程度しか蒸発させていなかった状態でも、白い結晶が目視で確認できた、ということです。
このように硬水のミネラルウォーターは、意外なほど簡単に、「結晶」としてミネラル分を作り出します。この白い結晶は、当然のことながら、栄養素の一つである「ミネラル」ですから、そのまま気にせずに飲んでしまってもまったく問題はありません。(もっとも、そもそも硬水は日本人の口には合いづらいものであるため、この「白い結晶」を飲んだことそのものではなく、「硬水」を飲んだことで腹痛などが起きる可能性はあります)
「ミネラルウォーターは、加熱しても成分が残るのかどうか」という単純な問題であってさえ、専門家の間で見解が分かれているのはなかなか興味深い話です。
ここでは「どの説が正しい」とまでは言えませんが、気になるミネラルウォーターがあったのなら、事前にそのメーカーに問い合わせてみるのもよいでしょう。「加熱処理をした場合、成分はどうなるのでしょうか」と聞けば、きっと教えてくれるはずです。
おわりに
「ミネラルウォーターの水を加熱したらどうなるのか」という簡単な質問であっても、これほど意見が割れるとは、正直びっくりでした。いろいろなメーカーがいろいろな意見を言っており、なかなか判断がつかないところです。
ただし日本で販売されているミネラルウォーターは、そもそも加熱処理をしているものも多く、これらのなかにはミネラル分が残っているものもあります。そう考えると、「加熱したら、すべてのミネラルが失われる」とは言えないような気がします。