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いつから「水は買う」時代に?日本のミネラルウォーターの歴史

いつから「水は買う」時代に?日本のミネラルウォーターの歴史

「水は水道をひねれば出てくる」日本という国は、実は世界的に見ても、水の品質が非常によい国です。水道をひねって出てくる水がそのまま飲める国ですから、非常にありがたいことでしょう。

ただし「ミネラルウォーター」「ウォーターサーバー」が、市場の一区画を占めていることもたしかです。今回はこのなかから、とくに「ミネラルウォーター」に注目しましょう。こちらはいつから出はじめたのでしょうか?

ミネラルウォーター、日本での歴史について~1980年代まで

ミネラルウォーター

ミネラルウォーターの日本での歴史は、どこから始まるのでしょうか。(なお、ミネラルウォーターは、広義の意味では「天然水全般」を指す言葉、狭義の意味では「飲み水」の分類の一つを表す言葉ではありますが、ここでは「市販されている、ボトルなどに入った天然水」の意味で使っています)

この歴史は、今から40年以上も前の1970年代初頭のころにまでさかのぼれると言われています。ただしこの1970年代というのは、「一般家庭で使われる水」というよりも、お店など、業務用として利用されている状態にとどまっていました。徐々にミネラルウォーターという存在が知られていくようにはなっていましたが、まだまだその市場は小さかったと言えるでしょう。

そんなミネラルウォーターが注目されはじめたのは、バブル時代でした。このとき、日本は空前の好景気に酔っていました。そのなかで、海外旅行をする人が増え、また食べ物にもお金を掛けられるようになりました。潤沢な資産を国民全体がもつようになっていたこの時代、「安全で、おいしいものにお金を払う」というのはごく当たり前のこととなりつつあったのです。

そのためおいしく飲めるミネラルウォーターが、「業務用」のワクをこえ、一般家庭にも入りこむようになったと言われています。

1990年代以降のミネラルウォーターの歴史について

水不足

「水に対して、お金を出して飲むこと」をためらわなくなってきた国民性もあり、ミネラルウォーターは徐々に日本に広がっていきます。水道水の汚さなどにも注目が集まり、「水はタダではない」という認識も出てきました。実のところ、1990年代の河川の状態というのは、高度経済成長期(1950年代~1960年代)に比べると非常にきれいであり、浄水施設も整ってはいました。しかしながら多くの人が注目をし、「問題」として取り上げはじめたこともあり、「おいしい水」を求めるようになっていったのです。

このようななかで、忘れてはいけない、「水不足」がおきます。

1994年に起こった、猛暑による水不足は、お店や家庭に大きな影響を与えました。節水が叫ばれ、1日のうちの決まった時間にしか水が出せない……という状態が続きます。

このようなときに、人が手を伸ばしたのが、「ミネラルウォーター」でした。ミネラルウォーターはたしかに購入にはお金がかかりますが、自分の采配で使えます。この結果として、ミネラルウォーターは家庭にも広まってきました。

しかしながらミネラルウォーターの歴史は、決して順風満帆なものではありませんでした。なぜならミネラルウォーターの中に異物が混入した事件が起きたからです。この事件が起きた時、一時的にミネラルウォーターの市場も縮小しました。

しかしこの事件の後は、「ミネラルウォーター」の価値基準や安全管理が今までにもまして徹底して行われるようになり、結果的に、ミネラルウォーターの品質向上に役に立つことになります。

そして2000年以降

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備蓄水

1970年ごろから始まった歴史は、2000年に入ってからもまだまだ続きます。

ミネラルウォーターの需要が大きく高まったのは、2011年3月の東日本大震災のときです。このとき、被災地には物資が少なくなってしまうことがありました。

この東日本大震災は、災害場所のみならず、ほかの多くの人にも不安感をもたらしました。「備蓄用の食材を」「非常時持ち出しかばんを」と考えた人も多く、この段階でも、ミネラルウォーターが急激に広まっていくことになります。

ミネラルウォーターはさまざまな事件を経て、今では非常食のうちの一つとして、必ず入れておきたいものであるとされるようになりました。

ミネラルウォーターの歴史の裏には、その時代、その時代の背景があります。そのように考えると、私たちが日常使いしているものは、「その時代のニーズ」に色濃く影響を受けていると言えるのかもしれませんね。

おわりに

意外なことに、ミネラルウォーターの歴史は1970年ごろから始まっていました。これを「早い」と思うか「遅い」というのかは微妙ですが、当初はお店用だったミネラルウォーターが、多くの一般家庭に広がっていったのは、非常におもしろいことではないでしょうか。

震災や異物混入のたびにその需要が高まったことで手放しには喜べませんが、現在ミネラルウォーターは「水」の選択肢の一つになっていると言えるでしょう。

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