なぜヨーロッパではミネラルウォーターの消費が多いのか?
ミネラルウォーターの本場と言えばやはりヨーロッパです。日本にも近年では輸出が盛んですので、口にされた経験がある方も多いのではないでしょうか?欧州の人々がどのようにミネラルウォーターと付き合っているのかについて解説します。
ヨーロッパでのミネラルウォーターの役割
日本人が「水道水はおいしくないし、安全性も不安」という理由でミネラルウォーターを購入するのに対し、ヨーロッパでは「健康によいから」という理由で人々はミネラルウォーターを口にします。
たとえばヨーロッパの医師は、カルシウムなどが必要な成長期の子どもに対し、ミネラル成分が豊富なミネラルウォーターを飲むことを勧めます。また肥満気味の人にたいしても、硬度の高い水は利尿作用が強いため、たくさん飲むようにアドバイスを与えることもあるのだとか。
このようにヨーロッパでは、日常的にミネラルウォーターを飲むという習慣が古くから根付いており、実に日本人1人あたりの10倍の量を年間で消費するというデータまであります。
暮らしと健康に必要なミネラルウォーター
ヨーロッパには「アクアテラピー」という言葉が存在しており、医療効果を期待してミネラルウォーターを用いる療法があります。ベルギーのスパ(温泉)では、湯治医が温泉を利用したマッサージとあわせて飲泉療法なども施しており、他にもヨーロッパに点在する温泉で同じような湯治が行われています。
またフランスにおいては「テルマリズムセンター」と呼ばれるミネラルウォーターを使った病気知立を行う医療施設がなんと1000カ所以上もあり、専門医の指導によるジェットバスやシャワーバス、ジェットバスを用いた水治療が行われています。この治療には健康保険が適用されます。
さらに医療的根拠がしっかりしていれば、ミネラルウォーターのパッケージ等に医療効果の表示が認められています。日本では禁止されている行為ですので、それほどまでにヨーロッパではミネラルウォーターが体によいことが認められているのでしょう。
ちなみにヨーロッパでのミネラルウォーターである基準は、源泉に汚染の影響が及んでおらず、直接採水されていること。そして飲用するのに加工・殺菌が不要であり、ミネラルバランスが優れ安定していることが条件となっています。
おわりに
このようにヨーロッパにとってミネラルウォーターは人々の生活や健康になくてはならないものですので、国は水源の保護に注力をしています。水源は保護区域に指定され、豊かな自然が広がっているのです。ミネラルウォーターを深く理解し、愛着のあるヨーロッパならではの努力が実を結んだ結果と言えるでしょう。
日本とヨーロッパでは生活習慣や文化的背景が異なります。そのため日本でミネラルウォーターがヨーロッパのように普及するかどうかはわかりません。ですが生きていくうえで欠かせない水と、どう関わっていくのか参考になるかもしれませんね。