ダムで観光?ダム観光が人気の理由
近年、ダムが観光地として人気です。旅行会社でも、ダム特集が組まれるほどで、「ダム女(じょ)」と呼ばれるダム好きな若い女性も数多く見られるようになりました。
もともと、ダムに訪れる人はマニアだけという穴場スポットでしたが、さまざまな理由から少しずつ人気が出て、今では有名な観光スポットに。ダムが観光地として人気になった理由について、調べてみました。
ダムとは水量を調節し、エネルギーを生む建造物
「ダム」という言葉を知っている人は多いと思いますが、実際にダムがどんな役割をはたしているのか、ご存じでしょうか?
ダムは河川を横断して設置された建造物で、コンクリートや土砂、岩石などでつくられています。高さ15m以上のものをハイダム、15m未満のものをローダムといい、日本ではハイダムを「ダム」と呼んでいます。
ダムというと、貯水する施設というイメージがありますが、ほかにもさまざまなはたらきをおこなっています。
- ・河川の水をせき止める役割
- ・水をため、利用する役割
- ・水力発電をおこなう役割
大量に水が流れるのを防ぎ、水量を調節することで洪水被害から守ります。
水を制御して、資源として利用する利水をおこないます。
高地にダムと発電所を築き、落差を利用して発電をおこない、エネルギーを作ります。
ダムがなければ、洪水や渇水、河川の氾濫などによる被害が生まれやすくなってしまうのです。
ダムにまつわる長所と短所
水量を調節し、エネルギーを生む建造物であるダムですが、建設となると大規模なものになるため、自然環境に影響を与えてしまうという一面も持っています。
たとえばエジプトのアスワンダムですが、ナイル川の下流地域で深刻な土壌痩せが起きたほか、寄生虫による感染がまん延するなどの健康被害も出ました。また建設には長期間の工事期間を要するうえに、膨大な建設費がかかります。一時期、税金のムダ遣いではないのか、という国民の不満も多く出ることとなり、「脱ダム」として多くのダム事業が中止されました。
批判の多い一方で、代表的なクリーンエネルギーとして、ダムの水力発電は支持されています。
ダムは長所、短所がありながらも、ダムは私たちの生活に関わってきているのです。
ダムが観光地として人気になった理由は、圧倒的な壮観さ
ダムが観光地として人気になった理由のひとつとして、SNSの普及が挙げられます。
ダム好きな人たちが投稿した、美しいダムの画像が、ダムにこれまで関心のなかった人たちの関心へと波及していったのです。たしかにダムは、自然の中にたたずむ存在感に圧倒されます。雄大な自然とコンクリートの重厚さが生み出すコントラストは、ほかにない魅力を感じさせるのかも知れません。
また定期的におこなわれるダムの放水はかなりダイナミックなので、見ごたえも十分。放水時間に合わせて訪れる観光客も多いようです。
ダムは一般的に、自然豊かな場所にあることも人気の理由だと考えられます。桜や紅葉スポットとしても人気ですし、大自然の中を歩くことで、日頃のストレスが軽減されていくような心地を味わえるのです。
また若い女性にもSNSにアップする画像の撮影スポットとして、人気が出ています。どこか目新しいところに行きたい、という人には、ダムの観光がオススメです。
全国各地にある、人気のダム観光スポット
全国各地にダムは建設されていますが、中でも人気なのは富山県の「黒部ダム」。黒部ダム建設にまつわる小説が映画化されたことでも有名です。
重厚なアーチ型コンクリートダムで、高さは日本一を誇ります。黒部ダムでは観光用に放水がおこなわれており、毎秒10立方メートル以上もの水が噴き出すさまは、とても迫力があり人気です。
国内最大のロックフィルダム、長野県の「高瀬ダム」も人気です。ロックフィルダムとは、岩石や土砂を積み上げて建設されているダムのことで、コンクリートのダムとはまた異なる迫力があります。
こちらは車で乗り入れられないため、自然を満喫できる観光スポットです。
ほかにも優雅に水が流れるさまを楽しめる、日本一美しいダムとも呼ばれる大分県の「白水ダム」や、ヨーロッパの古城のような趣がある香川県の「豊稔池ダム」、日本一標高の高い場所に建設された、天空のダムとも呼ばれる「南相木ダム」など、さまざまなダムがありますので、訪れてみるのも楽しいのではないでしょうか。
おわりに
人気の観光スポットのひとつになったダムですが、雄大な自然の中で迫力のあるダムを眺めるのは、なかなかない体験となります。
自然豊かな湖や河川に建設されていますので、散策しながら、季節ごとの桜や紅葉、積雪などもあわせて楽しめます。仕事や家事、育児などで疲れたときに、雄大な自然に囲まれたダムを訪れてみると、疲れが吹き飛ぶような爽快気分を感じられるのではないでしょうか。