奇跡の水?世界の名水特集~ルルドの泉~
世の中には、「奇跡の水」と呼ばれるものがたくさんあります。その多くは、真偽や実際の効果、医学的・科学的根拠が乏しいものです。それでもそれらのことを勉強していくのは、なかなかおもしろいものです。ここからは、そんな「奇跡の水」についてとりあげていきましょう。
まず取り上げるのは、ご存じの人も多い、「ルルドの泉」です。
とっても有名?!ルルドの泉
ルルドの泉は、「奇跡の水」と呼ばれるなかでも、かなり知名度が高いところなのではないでしょうか。
この「ルルドの泉」があるルルドは、フランスの片田舎に存在する小さな村です。「ガーヴ・ド・ポー川」という川のそばにある村であり、田舎町の風景を色濃く残します。
ここはたくさんの水車小屋があるのですが、そのようなのどかな田舎町で、今から150年ほど前に奇跡が起こったと伝えられています。
それは1858年のこと。この村に住む、決して裕福ではない少女・ベルナデッダの身に起こった奇跡だと言われています。(ちなみに、同行者として、彼女の友達や妹もいました)
彼女がたきぎ拾いのために近くの洞窟にいくと、風が流れてきました。その方角を向くと、そこには聖母であるマリアさまの顔が……。
ベルナデッダはそれからも、何度もマリアさまの姿を見ます。その数、なんと17回!
そしてあるとき、彼女は不思議な泉を見つけます。それこそが、現在の「ルルドの泉」だと言われています。
このルルドの泉が「奇跡の水だ」と言われるようになったそもそものきっかけは、まひを持っている人がこの水にその部位を入れたところ、そのまひが治ったからなのだとか。
現在はルルドの泉のところには「大聖堂」が建てられています。そしてこの町には、年間で500万人もの人が訪れていると言われています。観光客の数を言われてもピンとこない……という人もいるかもしれませんが、ルルドの町の人口は約1万5000人。つまり毎年人口の30倍~40倍の人がここに訪れるわけです。
のどかな田舎町であったルルドは、多くの人が集うようになったからか、フランスの大都市であるパリに続く宿泊施設の多さを誇り、現在でもその奇跡を頼りにする人に愛されています。今では、世界的に有名な巡礼地の一つとなっており、病気を治したいと考える人、敬虔(けいけん)なキリスト教徒の人たちが訪れる場所になりました。
ルルドの泉が発見される150年ほど前とは、まったく異なる状態になっていると言えるでしょう。ちなみにお土産屋さんなどもたくさんあります。
また19世紀から今までの間に、「奇跡」が確認された数は、実に66回。ちなみに現在では、直接触ることはできませんが、ボトルに入れて持ち帰ることが可能です。
ルルドの泉の効果について
このルルドの泉の効果について考えていきましょう。
一説では、「ルルドの泉の水は水素水である」といわれています。水素水はアンチエイジング効果があり、病院での治療でサジを投げられた人が、この水素水によって状況が改善した、とする意見も。
また「ゲルマニウム」にルルドの泉の起源や効果を求める声もあります。そもそも水素水やゲルマニウムが、この「ルルドの泉」を起源としているという逆転した見方も。
これによって「まひが治った」「不妊に効果があった」とする意見も見受けられます。
ただ現在のところ、水素水やゲルマニウムによる健康への効果は、正しい医学的根拠があるわけではありません。水素水に関しては、「健康に効果があるわけではない、特別な水である、とする根拠がない」として、国民生活センターも調査結果を発表しています。
このようなことを見れば、「ルルドの泉の水を飲めば、たちどころにどんな病でも治る」というのは、どうも言いにくいところがあると考えられます。
効果があると信じ込むことによって、なんらかのよい結果がうまれることを差す「プラシーボ効果」によるものと見るのが、現状では妥当なところでしょう。
ただ世の中には医学や科学で解明できない、あるいはまだ解明できていない分野があるのも確かです。人知を越えたものを「奇跡」と呼び、それに癒やされた人がたしかにいるのであれば、ルルドの泉は十二分に素晴らしいスポットだと言えるでしょう。また現在ではルルドの泉は、同じような悩みをかかえる人の、コミュニケーションスポットとしても知られています。
ルルドは、フランスの首都であるパリから、電車で6時間~9時間程度(乗り換えによる)。かなり遠いので、「パリを回った後にルルドへ……」というのは現実的ではありませんが、ルルドの泉の美しい風景に触れるために、旅行をしてみてもよいのではないでしょうか。
おわりに
「奇跡の水」としてよく知られているルルドの泉。その歴史は150年程度前から始まります。
現在では多くの人が訪れる人気の観光スポットとなりました。その医学的根拠は判然としていませんが、「奇跡が起きた場所」を巡礼するのも、旅の一つの楽しみとなるのではないでしょうか。