温泉水が飲める日本の温泉スポット特集~中部編~
「どこまでを中部圏というか」に関しては、多少意見がわかれるところではあります。
ただ今回は、「岐阜」「静岡」を、この「中部圏」に含めるものとして、その中部圏で有名な温泉水が飲める温泉どころとその歴史、そしてその効能についてお話していきたいと思います。今回取り上げるのは、「下呂温泉」と「熱海温泉」のふたつです。
非常に有名な下呂温泉、実はその「名前」の歴史は意外と新しい
「下呂温泉」は、大変有名な温泉です。温泉にそれほど詳しくない、という人も、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ただし実はこの「下呂」という名前が使われはじめたのは、昭和に入ってからです。下呂温泉の歴史は平安時代に始まっていると言われていますから、「下呂温泉」と呼ばれる前の歴史の方がずっとずっと長いと言われています。
ちなみに何かと話題にされたりネタにされたりする「下呂」という響きですが、もともと「しもとまり(下留)」というところからきているのだとか。これが音読みで呼ばれるようになり、現在の形に落ち着いたとのことです。
この下呂温泉は、岐阜県にあります。一時は水が枯渇してしまったそうですが、シラサギが新しく湧き出る場所を教えてくれたというエピソードも。また江戸時代にはすでに多くのお客を確保していた場所でもあるのですが、そうなった理由の一つは、温泉に詳しい著名人が下呂温泉のことをとりあげたからだと言われています。
下呂温泉の飲泉の歴史は非常に古く、この「江戸時代」には、すでに温泉の水を飲むという発想があったと言われています。またお風呂上りの飲み物はおいしいものですが、明治時代にこのあたりでとられた天然水がすでに売られていたのです。ちなみにその天然水は炭酸入りでした。
このような長い飲泉の歴史をもつ下呂温泉ですが、その水は、飲むことによって肝臓病や糖尿病、痛風などに効果を示すと言われています。
1回に飲んでもよい量は100~200ミリリットルと言われていますが、「1日に飲んでよい量」というのは意外なほど少なく、400ミリリットル程度を限度とします。また乳幼児や肝臓病を患っている人、高血圧に悩んでいる人には飲ませてはいけません。眠る前に飲むことも避けるようにしてください。
新婚旅行の中心地! 熱海温泉
かつて、熱海温泉は新婚旅行の中心地とされていました。その理由は、坂本竜馬夫妻にあると言われています。
坂本竜馬と言えば、だれもが知る明治維新に深くかかわった重要人物です。彼の歴史的な功績は(賛否はあれども)非常に有名ですが、同時に、私生活でもおもしろいエピソードが残っています。
彼は日本初となる「新婚旅行」を実行した人でもあります。もっともこのときの新婚旅行というのは、湯治の意味合いも強いものでした。怪我をした竜馬(りゅうま)が、妻であるおりょうを連れて熱海に足を運んだのがきっかけだと言われています。
ちなみにそれ以外にも、徳川家康がこの地を訪れたり、日本ではじめてとなる温泉療養センターが建てられた土地でもあったり、温泉地としては初となる「御用邸」の建設が行われたりと、非常ににぎやか強い土地でもあります。
このように非常に知名度の高い熱海温泉ですが、ここの温泉の特徴はその「熱さ」にあります。温度はなんと63度(平均)! かなり熱めのお湯だと言えるでしょう。
熱海温泉は、飲泉にも適しています。体の内側からも温泉の効能を感じられるとして人気なのですが、これもやはり、「飲めるかどうか」はきちんと前もって問い合わせるようにしてください。
熱海温泉の場合、神経痛や関節痛などによくききます。運動まひに対しても効果的で、さらには疲労回復などにも役立つと言われています。また病気は取りあえず治ったけれどまだ大事にしたい……というようなときにも役立つので、このような人にもオススメです。
ただし熱海温泉を楽しんではいけない人ももちろんいます。発熱がみられる人やがんを患っている人、結核、心臓病や腎不全を患っている人にとっては、熱海温泉は禁忌とされています。また貧血があまりにもひどい人も慎むことを求められます。
はるか昔から多くの偉人に愛され、さまざまなエピソードに事欠かない熱海温泉。歴史をたどるような気持ちで旅に出るのもいいかもしれませんね。
おわりに
さまざまな伝承を持ち非常に長い歴史のある下呂温泉と、坂本龍馬や徳川家康といった偉人に愛された熱海温泉を紹介しましたが、いかがでしたか?どちらも知名度が非常に高く、だれもが1度は耳にしたことのある温泉だと思います。
このふたつの温泉は、単に「温泉」「湯治」として楽しめるだけではなく、当時の歴史を探り、追いかけていくという楽しみもあります。昔の日本に思いをはせて、ゆっくりと温泉を楽しむのもよいのではないでしょうか。