奇跡の水?世界の名水特集~ビルカバンバの水~
太古から私たちは水に親しみ、水を飲み、水を利用してきました。そんな私たちが、「長寿」「健康」に役立つものとして、「水」を取り上げるのは、ごく自然のことなのかもしれません。世界にはさまざまな名水をたたえる場所があり、それがよく話題にのぼるのは、そういった理由もあるのでしょう。今回取り上げるのは、「ビルカバンバの水」です。
ビルカバンバとはどういうところ?
ビルカバンバの水について知るためには、まずは「ビルカバンバとはどこにある、どんなところなのか」を知らなければなりません。
「ビルカバンバ」と聞いて、それがすぐにどんなところにある地方なのかを思い浮かべられる人は決して多くないと思われます。まずはこのビルカバンバの地理条件からお話しましょう。
ビルカバンバは、エクアドルの南部に位置する村の名前です。南米にあるこのビルカバンバは、実は、意外なことにコーヒーの名産地でもあります。ブルボン種などを栽培しており、農薬などを使わずに栽培される(国立公園となっているので、そもそも農薬などの使用が禁じられている)コーヒーは、飲みやすい味で有名なのだとか。また香りが豊かであることでも知られています。
このコーヒー豆を育てているものが、このビルカバンバに流れる川です。そもそもこの「ビルカバンバ」は、「神聖な谷」を意味する(インカの言語)言葉であり、ここに流れる川がおいしいコーヒー豆を育んでいます。
ビルカバンバで栽培されるコーヒー豆は、日本ではかなり知名度が低いと言えます。なぜなら認証がないため、せっかく有機栽培で育てたとしても、日本では「有機栽培コーヒー」とうたえないからです。多くの人は、有機栽培のコーヒーとそうでないコーヒーがあった場合、前者を選ぶのではないでしょうか。
ただこのビルカバンバは「水」という一点において、多くの人の耳目を集めています。
ビルカバンバは、実は、非常に有名な「長寿の村」です。世の中には長寿の村(地域)として知られるところはたくさんありますが、ビルカバンバはトップ3に入っている村(地域)です。一説によれば、64人に1人が100歳以上なのだとか。
日本の場合、100歳以上の割合は年々増加していってはいるものの、2016年の段階では1億2711万0047人分の6万5692人。2000人に1人程度の割合でしかありません。
このように考えれば、ビルカバンバの「64人に1人」という数字がいかに大きいかがわかるでしょう。
ビルカバンバの水の研究とその利用方法
このような世界でもまれにみる「長寿村」であるビルカバンバの存在は、1973年に、ハーバード大学の医学部の博士によって取り上げられました。そして1981年に、エクアドル側の政府から、医学を学んでいる博士に調査依頼が寄せられます。
その調査依頼を受けた博士は、ビルカバンバの水について研究をすすめます。その結果として、ビルカバンバの水には大量のミネラルが含まれていることを突き止めました。博士は、この結果をもって、「ビルカバンバの人々の健康は、この水によって支えられている」と結論付けました。
それ以降も、ビルカバンバの研究は進んでいます。現在では、「ビルカバンバの水だけでなく、ビルカバンバでとれる果物もまた、彼らの健康を増進しているのではないか」と考える向きもあります。
ミネラル分は、抗酸化作用や体の再生を助ける役目があります。とくに銅や亜鉛などは、がんに対して有効と言われており、免疫力の向上に役立つそうです。
加えてセレンや鉄分は、活性酸素の働きを阻害し、体を健康的な状態に保つと考えられていて、鉄分は貧血予防のための有用なミネラルとして知られています。それ以外も、セレンには白血病を予防する効果が見込めますし、マグネシウムには心を安定させる効能が認められています。
こう考えると、ビルカバンバの水による効果というのは、ある程度は信ぴょう性があるものだと言えるでしょう。
もっとも「ビルカバンバの水を摂取していれば、病気にはならない」「ビルカバンバの水を飲んでいさえすれば、不摂生をしていても健康を保(たも)てる」「ビルカバンバの水のミネラルがあれば、決してがんにはならない」ということはできません。あくまで水というのは健康をサポートするものにすぎませんし、こう言い切るには少し心もとない部分があることもたしかです。
おわりに
恐らく多くの人が知らないであろう「ビルカバンバ」。ただこの村は、非常な長寿村であるとして、よく取り上げられています。それにしても64人に1人が100歳以上というのは、かなり驚きの数字ですね。
ビルカバンバの水はミネラル分を含むと言われており、それが健康によい作用を与えていると考えられています。ただ「ビルカバンバを飲んでいれば、万病の予防になり、決して病気にかからない」とは言えません。あくまで大切なのは、自分自身の健康管理なのです。