世界のウォーターサーバー事情~アメリカ編~
使っている人、導入を検討している人も多い「ウォーターサーバー」。このウォーターサーバーですが、海外ではどのようにして使われているのでしょうか。ここからは、「海外のウォーターサーバー事情」とし、アメリカや中国など、諸外国のウォーターサーバーの実態や方向性、考え方などについてお話していきます。今回取り上げるのは、「アメリカ」です。
広い土地、乾燥した土地。そこで広がっていった水ビジネス
ウォーターサーバーの起源や歴史をさかのぼっていくと、1900年代のアメリカに行きつくことでしょう。
私たち日本人は、常に水に囲まれた世界で生きています。もちろん一部には「海なし県」はありますが、それでも多くの県は海や川、あるいは湖などを有していますし、異常気象のときを除けば雨もかなり降る国だと言えます。「水のみ百姓」という言葉があったことからもわかるように、「水の入手」は比較的容易な国だと言えるでしょう。
しかしアメリカは違います。アメリカは広大な大地を有しています。気候も地域によって異なりますが、南西部は乾燥した土地であり、なかなか水を確保できません。水は食べ物以上に重要なものですから、アメリカを開拓し、住居を整え住んでいくなかで、「水の確保」はもっとも重要な課題でもありました。
ただ当時のことですから、今のようには「水道」の文化も根付いていません。そのためかつては井戸を掘るなどして、水をどうにかして得ようと考えていました。
水の商売人と日本への影響
このときに出てきた考え方が、「水の商売人(運び屋)」の存在です。
水の豊富な土地から水を採取し、乾燥した土地、水をなかなか得られない土地にそれを運び、商売としたのです。いつの時代も商魂たくましい人はいるものですし、水は必要不可欠なものですから、この「水の商売人(運び屋)」の仕事は需要がありました。
そんななかで生まれたのが、「必要なときに水を手に入れたい」「安定した供給が欲しい」というものです。その結果として、「ウォーターサーバー」という文化が出はじめました。
日本は今でこそ、「おいしい水を飲みたい」という意向で取り入れられていますが、昔のアメリカではそれよりもずっと切実に、「乾きへの対策」としてウォーターサーバーが求められていたのです。
このように「必需性」から生まれたアメリカのウォーターサーバーは、日本とは比べものにならないほど早い時期に「ビジネス」として確立します。その歴史は1930年代くらいにまでさかのぼれると言いますが、このときにすでに「存在していた」ことを考えれば、考え方や設置が始まったのはもう少し前なのかもしれませんね。
このような歴史は、日本におけるウォーターサーバー事情にも細かいところで影響を与えています。たとえばウォーターサーバーの水量の表記として使われている「ガロン」という単位は、ここから来たと言われています。ちなみにオマケの話ですが、映画や漫画でカウボーイがかぶっている「テンガロンハット」という帽子の由来は「10ガロンもの水が入るほどの大きな帽子」というところからきたのだという説もあるそうです。(「実際にはそんな量は入らないので、違う意味だ」という話もありますが)
アメリカのウォーターサーバー事情
このような歴史的背景をもつアメリカでは、やはり日本よりもウォーターサーバーの普及率は高いと言われています。
またアメリカでも、日本同様の「軟水」が好まれています。
アメリカの水道水というのは、実は日本とは違い、都市ごとに硬度がまったく異なります。たとえばニューヨークやサンフランシスコ、キャメロンなどは日本と変わらないほどの軟水ですが、セドナやグランドキャニオン、モニュメントバレーなどはドイツなみの硬度が特徴です。
同じ国でも、3倍以上も数字に違いが出てきています。加えて「少し硬水よりの軟水」であるシカゴ市内、ロサンゼルス、「グランドキャニオンほどではないものの、硬水に分類される」セントルイスなどがあり、その硬度は一定ではありません。
そんななかで、「軟水」が好まれているというのはなかなかおもしろいものですね。ちなみに日本でもアメリカの採水地からとられた水が、ウォーターサーバーやミネラルウォーターとして活躍しています。
レンタルサーバーが一般的な日本と違い、アメリカでは「ウォーターサーバーは借りるものではなく、購入するもの」という意識があるようです。
おわりに
ウォーターサーバーの歴史を語るうえで、欠かすことのできない国。それが「アメリカ」です。
アメリカ発症のウォーターサーバーは、現在さまざまな国で使われるようになり、日本も例外ではありません。現在の販売単位などにもその面影を見て取れます。
「借りるのではなく、買う」などのように、その導入の仕方にも方向性の違いがみられるのは少しおもしろいですね。