「日本の水道水は飲み水として最適なものではない」【藤田紘一郎先生の水の相談室】
「水の相談室」は水の権威である藤田紘一郎先生に、
水に関する疑問や悩みを相談ができます!
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【登場人物】
水色ママ
ウォーターサーバーやお水が大好き!もっとウォーターサーバーやお水について詳しく知りたいと思っています。
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藤田紘一郎先生
東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。お水について50年にわたり研究をしてきました。
東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。お水について50年にわたり研究をしてきました。
皆さん。こんにちは。
記念すべき「水の相談室」の第1回です。この「水の相談室」は皆さまからの水に関する疑問やお悩みを水の権威藤田紘一郎先生に答えてもらう企画です。
アシスタントを務めさせていただく水色ママです。
記念すべき「水の相談室」の第1回です。この「水の相談室」は皆さまからの水に関する疑問やお悩みを水の権威藤田紘一郎先生に答えてもらう企画です。
アシスタントを務めさせていただく水色ママです。
皆さま、初めまして、藤田紘一郎です。私は半世紀近く水の研究をしてきました。その経験や研究の成果を皆さまの疑問解決のお役に立てればと思っています。
それでは藤田先生早速質問にいきたいと思います。東京都にお住まいのジャッキー・チュンさんからの質問です。
「水道水を飲むと塩素で頭痛やめまい、吐き気などの症状が出る人がいるという話を聞きました。水道水の塩素消毒はそんなに危険ですか?」
「水道水を飲むと塩素で頭痛やめまい、吐き気などの症状が出る人がいるという話を聞きました。水道水の塩素消毒はそんなに危険ですか?」
私たちにとって最も身近な「水」といえば、水道水だよね。日本人は、蛇口をひねればいつでも水を使うことができて、容易に使用できる環境で生活している日本人は生活用水を垂れ流すことで、水源を汚してしまったんだよ。その汚染された水を殺菌処理するため、塩素を注入することになってしまったんだ。いまや、日本の水道水は世界で最も塩素注入量が多い水になってしまったんだよ。
えええーそうなんですね・・・そんなところで世界1位にならなくてもいいのに・・・
塩素の注入により、確かに殺菌処理はできだけど、塩素の影響は殺菌だけでなく、人の体に悪影響を及ぼしてしまった。塩素の注入により、飲料水を「酸化還元電位の高い水」に変化させてしまったことが原因なんだ。それは、皮膚や毛髪、内臓まで痛めるようになったんだ。そして、体内酵素や抗酸化物質の働きを低下させ、体内に活性酸素を発生させているんだよ。その影響で体調が万全でない時などに頭痛やめまい、吐き気などの症状が出る時がある。つまり、塩素を注入している水が体に良いわけはないんだよ。
いったい何が水源を汚染しているんですか?
工業廃水、農業廃水も水を汚していますが、日本全国の家庭からの生活排水はそれ以上に水を汚染しているんだ。日本は清潔な国、また日本人は清潔志向の強い国民性ならではの弊害といえる。水の中の菌をすべて消そうとして、結局はそれを飲む人間の体も傷つけてしまっているんだ。日本人の過剰な清潔志向は、蛇口をひねるたびに必要以上のせっけんや洗剤を使用している。そしてその排水が取り返しのつかないほど、汚染を招いてしまった。その結果、その汚れを浄化するために世界で最も高い基準値で多量に塩素を投入することになっているんだよ。
うーん。日本の水道水の塩素がそんなに多いなんて・・・
体に悪いのは塩素だけですか?
体に悪いのは塩素だけですか?
良い質問だね。塩素を多量に投入すると水中で遊離した塩素と有機物由来のフミン質やフラボン酸が反応して、「トリハロメタン」という物質ができることがわかったんだ。このトリハロメタンは、1974年アメリカのハリス博士によって発がん物質であることが発見された危険な物質なんだ。そして日本の水道水にはこの物質が混入するようになったんだ。それを受けて厚生労働省は1992年になって、水道水水質基準に「健康に関する項目」を追加し、総トリハロメタンを0・1㎎/L(100ppb)以下と定めたんだ。だけど昔の日本の水道水にはトリハロメタンのような発がん性物質は含まれていなかったんだよ。
その原因については、第一に源水が汚染されていなかったこと。次に、水道水のろ過法が、現在とは違っていたことが考えられる。昔は暖速ろ過法で源水を8時間かけて沈殿させ、15~40日かけて、ゆっくりろ過していたんだ。しかし戦後、アメリカにならって、急速ろ過法を採用したんだ。まず硫酸バンドという擬集剤を投与し、細かい粒子を塊にしてその塊を除き、1日に150メートルの速度で急速ろ過するんだけど・・・このろ過法は確かに早かったんだが、アンモニア態窒素や臭気を除くことができなかったため、塩素をより多量に投入することになってしまった。そして、多量に投入された塩素は私たちの体にとって危険なものとなったんだ
え!?「トリハロメタン」は発がん性物質なの!?
そんな危険な物質が含まれている水道水を飲んでも大丈夫なの?
そんな危険な物質が含まれている水道水を飲んでも大丈夫なの?
結論から言うと、日本の水道水にはトリハロメタンは多かれ少なかれ含まれている。したがって、日本の水道水は飲み水として最適なものではないと僕は思っているよ。そこで、まず、現状の全国の浄水場について、浄水処理の方法とトリハロメタンなどの除去について説明するね。
現在、ヨーロッパは塩素を使わずに、オゾン処理による浄水を採用している国が多くなったんだ。オゾン処理とは、オゾンの強い酸化力で、殺菌、脱臭するもので、塩素は最後に1度だけ入れる。その結果、トリハロメタンなどの有機塩素化合物は半減したんだ。日本でも、この水質浄化法が取り入れられはじめ、高度浄水処理と呼ばれている。通常の浄化処理は、沈殿、ろ過、消毒という過程で行われているけど、高度浄水処理ではこの過程に加えて、塩素を使うことで生じる、トリハロメタンなどの有害な化学物質やカルキ臭のもととなるアンモニア態窒素などを取り除くため、生物処理やオゾン処理、粒状活性炭処理が行われているんだよ。
せ、せ、せ、生物処理???
生物処理は、微生物の浄化作用を利用するもので、有機物やアンモニア態窒素、マンガンなどが除去されるんだ。オゾン処理は、オゾンの強い殺菌力によって、かび臭、トリハロメタンなどを取り除くことができる。粒状活性炭処理は、水に溶けている有機物を活性炭で吸着させる。厚生労働省によると、全国の浄水場のうち、高度浄水処理が行われているのは、30%近くになるということらしい。このように高度浄水処理が行われ、トリハロメタンなどの有害物質を減らすという動きは良いことだと思うよ。体の皮膚や髪の毛など体の外側への影響が良くなる点で安心できるからね。
高度浄水処理があれば安心なんですね!よかった!!
しかし、毎日口から飲む水のことを考えると、また健康を第一と考えるなら、トリハロメタンなどの有害物質を取り除くだけでは不十分だよね。毎日飲む水が浄水処理を施されていても、トリハロメタンが多少でも入っているならば飲むべきではない。また、水が豊富な日本だからこそ、もっと、水を大事にしなくてはいけない。大切な水源を汚したり、簡単に薬品で処理したり、浄水した水を飲まざるを得なくなり、それがいろいろな生活習慣病を増やしている原因の一つになっていると考えらる。水で健康状態が影響されるということならば、安易にトリハロメタンが多少でも入っている水道水を飲み水として、選ぶのは良くないと思う。
水道水をおいしく飲む方法はないんですか?
それにはまず、健康に害がなく、健康に効果的な水にすること。そうすれば必然的においしい水になる。30年くらい前は、安心してしかもおいしく水道水を飲める国々に日本は入っていたんだよ。
他には、カナダ、アラスカ、アメリカ北西部の一部、北欧、シンガポールなど十数カ国が安心して水道水を飲める国だった。1960年前後までは日本には安全でおいしく飲める水がふんだんにあった。では、どうしたら水道水中の有害物質を除くことができるのか。それには水道水を浄水することが必要なんだ。つまり、浄水器の設置が必要になってきたということだ。浄水器は水道水にかかわるさまざまな課題に対応し、安全でおいしい水を提供するための水道水用補助機器といえる。
他には、カナダ、アラスカ、アメリカ北西部の一部、北欧、シンガポールなど十数カ国が安心して水道水を飲める国だった。1960年前後までは日本には安全でおいしく飲める水がふんだんにあった。では、どうしたら水道水中の有害物質を除くことができるのか。それには水道水を浄水することが必要なんだ。つまり、浄水器の設置が必要になってきたということだ。浄水器は水道水にかかわるさまざまな課題に対応し、安全でおいしい水を提供するための水道水用補助機器といえる。
浄水器ってお高いんでしょう?
うん。一言で浄水器といっても、いろいろなタイプがあるし、お値段もピンからキリまである。多くの製品が塩素やトリハロメタンを除去できるようになっていて、ろ過のタイプも活性炭やセラミックなどいろいろなタイプがあり、最近では超細密な穴から分子量の小さいものだけを通す中空糸膜も多くなっているんだ。また、健康上の付加価値を売り物にした飲料水の製水器もある。酸性に傾いた体をアルカリ性に変える浄水器も出ているし、水にカルシウムを添加させる機能を持った浄水器などもあるし、本当にさまざまなタイプがある。しかし、たくさん存在する中で、厚生労働省が認め、お墨付きを得たのは、アルカリイオン製水器しか存在しないんだよ。その他の浄水器は薬事効果を主張できないのだけど、中には効果を誇張した製品も現れている。その点をきちんと、見極めて、浄水器や製水器を選ぶことが大切だね。また、こういった装置には、必ずメンテナンスが必要になってくる。メンテナンスを怠ると、おいしく、安全な水ではなくなってしまうから、その点に注意が必要だよ。また、その分費用が増すことも考えられるね。
じゃあ一体何を飲めばいいんですか?
そうだね。私は水道から水が十分に出てくるからといっても、ミネラルウォーターを購入する方法をおすすめしている。日本には、たくさんのミネラルウオーターがあるんだ。しかも、硬水、中硬水、軟水と産地によってバリエーションが豊富で、飲む水によって健康への効能も変わってくる。この恵まれた環境にありながら、あえて、体に悪影響を与えるような水を選ぶことはないと思うんだ。良い水を飲むことは、最も簡単で、確実な健康法なんだよ。私たちの生命は毎日の飲み水に握られているといっても過言ではないからね。
なんで水道水塩素が健康に悪いのかよくわかりました!
藤田先生ありがとうございました(#^^#)
ジャッキー・チュンさん、これから水道水はなるべく飲まないでミネラルウォーター(良い水)を飲むようにしましょう!
藤田先生ありがとうございました(#^^#)
ジャッキー・チュンさん、これから水道水はなるべく飲まないでミネラルウォーター(良い水)を飲むようにしましょう!
著者紹介
藤田 紘一郎(ふじた こういちろう)
1965年 東京医科歯科大学医学部卒業
1966年 第40回医師国家試験合格(代190399号)
1970年 東京大学大学院医学系研究科修了(医学博士 東京大学)
1970年 東京大学医学部助手(寄生虫学)
1972年 順天堂大学医学部助教授(衛生学)
1987年 東京医科歯科大学医学部教授(医動物学)
1995年 講談社出版文化省・科学出版賞
2000年 東京医科歯科大学院教授(国際環境寄生虫病学)
2000年 日本文化振興会・社会文化功労章および国際文化栄誉賞
2005年 東京医科歯科大学名誉教授、人間総合科学大学教授(免疫・アレルギー学)
2015年 東京医科歯科大学名誉教授 現在に至る
主な近著に、水の健康学(新潮新書)、万病を防ぐ「水」の飲み方選び方(講談社+α文庫)、水と体の健康学(ソフトバンククリエイティブ・サイエンスアイ新書)、ボケる、ボケないは「腸」と「水」で決まる(朝日新書)、「体をつくる水、壊す水」(ワニブックスPLUS新書)、など他多数。
※水の権威藤田先生の「水の相談室」は、水に関する疑問に対して、藤田紘一郎先生の回答をわかりやすく対話形式にしてご提供しています。
免責事項
本稿で引用されている専門家や組織の見解と意見は、あくまでも各自のものであり、必ずしも属する機関や協会、またディーエムソリューション株式会社の意見を代表するものではありません。
本記事に記載されている情報は、他の専門家によるアドバイスとは異なる可能性があります。特定の健康上の懸念がある場合は、個別事象の専門家に直接ご相談ください。