おいしい水道水の基礎知識-水道水質基準について
日本の水道水の安全性は世界でもトップクラスだと言われています。日本人は、「海外に行ったら水道水は飲むな」と言われますね。しかしながら日本でもミネラルウォーターを買うのが一般的になってきており、ウォーターサーバーも普及してきました。
安全な水を供給するために、日本の水道水はどのような処理・検査をして、水質を管理しているのでしょうか。また水道水とミネラルウォーターでは、どんな違いがあるのでしょうか。
水道水質基準って何?
水道水には、水道水質基準というものが設けられています。
現在の日本には、きれいで豊富な水道水を安く供給する目的で1957年に制定された水道法という法律があります。水道水質基準とは、この法律によって定められた水道の水質規格です。すべての水道水はこの基準を満たさなければならず、各水道局は定期・臨時に水質の検査が義務付けられています。
平成15年には、それまでの基準が大幅に改定され、現在の基盤となる水質基準となりました。平成26年現在、51の項目とその基準値が設定されています。
またこの51項目以外に、水質を管理するうえで留意するべき項目として「水質管理目標設定項目」が26項目、まだ評価が定まらず、今後必要な情報の収集に努めていくべき項目として「要検討項目」が47項目、それぞれ定められています。
これらの項目や基準値は最新の科学的知見にしたがって、随時見直されています。
具体的にどんな項目があるの?
水質基準の項目は大きく分けると2種類あります。健康を保護する目的で設定された項目は、人体に悪影響を及ぼしたり病気を発症したりするような病原体、重金属、化学物質について、健康に支障がない数値をそれぞれ定めています。
生活利用の観点から障害がないように設定された項目は、色、匂い、味、濁度やそれらに影響を及ぼす物質について影響を起こさない数値を定めています。
一部を紹介すると、健康を保護する目的で設定されているものには、
- ・大腸菌:検出されないこと
- ・水銀およびその化合物(水俣(みなまた)病などの原因):鉛の量に関して、0・01mg/L以下、
- ・鉛およびその化合物(長期間の摂取で貧血や神経系障害):0・01mg/L以下
などがあり、
生活利用の観点から障害のないように設定された項目には、
- ・陰イオン界面活性剤(多いと発泡):0・02mg/L以下
- ・銅およびその化合物(金属の味、青い着色など):1・0mg/L以下
などがあります。
水道水の問題点は?
水道水が厳しいチェックを経て供給されていることがわかりました。多くの関心を集める放射性物質についても、各水道局が定期的に採水して検査を行い、調査結果を公表しています。このように見ると、水道水の安全性は十分に高いように感じます。では水道水の問題点は何でしょうか。
水道水に塩素が投入されていることは、ご存じの方が多いと思います。明治初期頃から大はやりした「コレラ」や「チフス」の感染が止まったのは、水道水に塩素処理を施したからです。塩素は水の殺菌消毒という大きな役割を担っています。
一方でマイナスの要素もあり、カルキ臭がするなど水道水の味や匂いに影響を与えるだけでなく、塩素が元でできるトリハロメタンという発ガン性物質についても、危険性が指摘されています。
ミネラルウォーターも水質検査をしているの?
さて市販されているペットボトルの飲料水やウォーターサーバーの水も、水道水と同じように検査されているのでしょうか?
「天然水」と呼ばれるミネラルウォーターに関しては、食品としての基準が適用されています。食品衛生法で定められた、ミネラルウォーターの原水の基準は18項目。これらの水は「清涼飲料水」として、味わうことを主な目的にしています。
ウォーターサーバーの水には「RO水」と呼ばれるものもありますが、こちらは水道水を元にしていますので、原水の基準は上記の51項目。
この水道水をさらに、RO膜という非常に目の細かいフィルターでろ過して不純物を取り除いたものに、人工的にミネラルを加えて味や栄養を調整したものがRO水です。
水道水からろ過によってさらに不純物を取り除いているRO水は、間違いなく安全な水と言えそうです。しかし人の手を加えない(ろ過や加熱殺菌など必要な処理は行います)、自然の恵みそのものである天然水は体に良さそうですし、味も抜群でしょう。
おわりに
いかがでしたか?
水道水にもウォーターサーバーの水にも、それぞれメリット・デメリットが存在します。安さをとるか、安全性が1番か、味こそが重要かは、各自の判断にゆだねられます。自分に合った水を選ぶには、正しい情報を見極めることが大切ですね。