「水素水は「ただの水」ではありません。」【藤田紘一郎先生の水の相談室】
「水の相談室」は水の権威である藤田紘一郎先生に、
水に関する疑問や悩みを相談ができます!
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【登場人物】
水色ママ
ウォーターサーバーやお水が大好き!もっとウォーターサーバーやお水について詳しく知りたいと思っています。
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藤田紘一郎先生
東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。お水について50年にわたり研究をしてきました。
東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。お水について50年にわたり研究をしてきました。
藤田先生!第2回の水の相談室です。今回は今何かと話題の水素水について埼玉のナッキーママさんからの質問です。
「今、人気の水素水って本当に体にいいのでしょうか?いろいろ言われていて何が本当なのかよくわかんないです・・・」
「今、人気の水素水って本当に体にいいのでしょうか?いろいろ言われていて何が本当なのかよくわかんないです・・・」
最近、話題になっている、水素水は体に良い効果があることがわかっています。特に高齢者社会で問題になっている、認知症を予防するのに水素水は効果を発揮しています。
認知症の予防ですか?!
そう。認知症を防ぐのには活性酸素の害を取り除くことが最も重要となります。また、脳細胞の変性を防ぐ作用が水素水にあることも分かっています。東京都健康長寿医療センター研究所の石神昭人博士と東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)などの研究(参照:生体環境応答研究 - 東京都健康長寿医療センター研究所)では、水素水がマウスの脳に蓄積していた活性酸素の量を減らしたことを明らかにしました。実験ではマウスを二つのグループに分けました。一つは普通の水を与えたグループ、もう一つは水素水をあたえたグループです。その結果、水素水をあたえたグループは、普通の水をあたえたグループに比べて、活性酸素の量が平均して、27ポイントも少なくなっていたのです。
へぇ水素水って凄いんですね!
うん。また、日本医科大学の太田成夫教授らは、ストレスを加えたマウスを使った水素水の研究(水素水の消費によるマウスのストレス誘発性障害の防止)をおこなっています。マウスに強いストレスを与えたところ、脳の海馬には変性した神経細胞が蓄積しました。ストレスは活性酸素を大量に発生させる一因です。それによってできた変性細胞が、水素水を飲ませたことによって減少したことが観察されました。水素水が脳細胞の変性を元に戻し、記憶力の低下を半減させたのです。
なんで水素水にはそんな力が有るのでしょうか?
良い質問だね。水素と酸素が結合すると、水になることは知っているよね。よく使われる酸化とは酸素を得ることであり、還元とは酸素を失うことなんだ。
水素には酸化されたものから酸素を奪って水を作り、酸化されていた物質をもとに戻す還元作用があるんだ。つまり、水素水を体内に入れれば、水素と活性酸素を結びつかせて、それを無毒化させることができるという理論にもとづいているんだ。
水素には酸化されたものから酸素を奪って水を作り、酸化されていた物質をもとに戻す還元作用があるんだ。つまり、水素水を体内に入れれば、水素と活性酸素を結びつかせて、それを無毒化させることができるという理論にもとづいているんだ。
それでは水素水は実際になにに期待できるのですか?
うん。水素水のこの役割を利用して、認知症の予防と改善に期待できるんだ。肌の老化も活性酸素が誘導しているので、肌の老化を抑えるには、抗酸化力を持つ水を選んで、飲むと良いことになる。その意味で、水素水も肌の老化予防の水として、期待されているんだ。
へえ、水素水はすごいんですねぇ
健康と美容に良い水である水素水は密閉容器に入れられていても、水素が徐々に抜けていってしまうというデメリットがある。だから封を切ったら、すぐに飲み干さなければ、水素が飛んでしまうのも難点。もしも、水素水を購入するならば、密閉性の高い容器を使っていて、製造日がより新しいものを選んでください。そして開封後はなるべく早く飲み干さなければいけません。
水素水がすごいのはわかったけど・・・国民生活センター水素水が「ただの水」で水分補給しか意味がないって言っています。
水素水は「ただの水」ではありません。水色ママは「酸化還元電位」という言葉を目にしたり、聞いたりしたことがあるかい?
よくわかんないです・・・
説明すると、酸化還元電位とは、その物質が他のものを酸化しやすい状態にあるのか、または酸化したものをもとに戻しやすい状態にあるのかを表す指標で、飲み水においてはもちろん酸化還元電位の数値が低いものが良いと言われているんだ。この酸化還元電位の数値の高いものほど酸化力が高く、低いものほど還元力が高いことを表しているんだよ。
さ、さ、さ、酸化力と還元力??
例えば、酸素の酸化還元電位はプラス820mv(ミリボトル)であるのに対して、水素はマイナス420mv。水の場合、みんながよく知っている水道水は酸化還元電位が特に高い水です。
水に多量の塩素を含ませると、酸化還元電位の高い、危ない水となります。富士電機の顧問である嶋田富雄さんが、日本各地の飲料水の酸化還元電位を測定しています。
それによると、日本の水道水の酸化還元電位は、プラス460~プラス750mvと極めて高い数値を示しました。これに対して、無消毒の水はプラス200mv前後です。
水に多量の塩素を含ませると、酸化還元電位の高い、危ない水となります。富士電機の顧問である嶋田富雄さんが、日本各地の飲料水の酸化還元電位を測定しています。
それによると、日本の水道水の酸化還元電位は、プラス460~プラス750mvと極めて高い数値を示しました。これに対して、無消毒の水はプラス200mv前後です。
先生は水道水は危ない水っていいますが・・・
酸化還元電位を見れば、私たちが日常に使っている水道水は、塩素消毒していない水より、2~3倍もの酸化力を持つ水であることがわかります。一方、水素を充塡(じゅうてん)して作る水素水の場合、マイナス400~マイナス600mvが一般的。酸化還元電位は製品によって異なるので、数値はパッケージに記載してあるから見てごらん。水素水は酸化還元電位が低いというのが著しい特徴なんだ。
酸化させる力がないといいことがあるんですね!
国民生活センターが水素水を「ただの水」と言っているのは、水素水として売り出している水から水素が蒸発してしまっている状態の水を測定し、結果、「ただの水」だったんじゃないかな。
水素水と同じ働きをする水はないんですか?
水素水と基本的に同じなのが「アルカリイオン水」がある。両方とも抗酸化力が強く、体に良い水です。
ただ、「水素水」と「アルカリイオン水」の作り方が違うんだよ。
ただ、「水素水」と「アルカリイオン水」の作り方が違うんだよ。
へぇ作り方が違うんだ?!
■水素水のつくり方
1.膜溶解法(水素を溶かし込む高度の技術)
2.マイクロ・ナノバブル法(目に見えないほどの小さな泡が水素を形成)
3.水素吸蔵ゼオライト法(水素は徐々に放出される)
4.電解水素法(もとのph値を変えることなく溶存水素濃度だけを高める)
などがあるよ。水素を溶かす方法はいろいろとありますが、現在、ガスは圧力が高いほど溶けるということから、圧力をかけて溶かす方法がよくつかわれているんだ。
1.膜溶解法(水素を溶かし込む高度の技術)
2.マイクロ・ナノバブル法(目に見えないほどの小さな泡が水素を形成)
3.水素吸蔵ゼオライト法(水素は徐々に放出される)
4.電解水素法(もとのph値を変えることなく溶存水素濃度だけを高める)
などがあるよ。水素を溶かす方法はいろいろとありますが、現在、ガスは圧力が高いほど溶けるということから、圧力をかけて溶かす方法がよくつかわれているんだ。
アルカリイオン水はどう作るんですか?
■アルカリイオン水のつくり方
1.水道水を浄水
2.浄水にカルシウムを添加
3.カルシウムを添加した浄水に電圧をかけて電気分解をする
陽極(+)には酸性水、陰極(-)には水素が発生し、アルカリ側に水素を含んだ水が溶出してきます。この水が「アルカリイオン水」だよ。
1.水道水を浄水
2.浄水にカルシウムを添加
3.カルシウムを添加した浄水に電圧をかけて電気分解をする
陽極(+)には酸性水、陰極(-)には水素が発生し、アルカリ側に水素を含んだ水が溶出してきます。この水が「アルカリイオン水」だよ。
こんなにも作り方に違いがあるんですね!
作り方は違う「水素水」、「アルカリイオン水」だけど、どちらも水に溶け込んでいる水素が抗酸化力を発揮して、脳細胞の変性を防いだり、体内の余分な活性酸素を無毒化したり、認知症の予防に良い効果を発揮するんだ。
へぇ
繰り返しますが、「水素水」は充塡(じゅうてん)した、水素が徐々に抜けてしまうデメリットがあるので、製品を選ぶときには容器のタイプなど、十分な注意が必要となります。水素は分子が小さいので、プラスチックなどの容器を通り抜けてしまいます。このように水素はとても抜けやすいので、アルミの容器で売られていることが多いようです。また、日にちがたつと水素は抜けてしまうので、日付が新しいものを選び、開封したら飲み干すという点も注意が必要です。
アルカリイオン水は水素は抜けないんですか?
うむ、「アルカリイオン水」は絶えず水を分解して水素を出しているので水素不足にはらないんだ。また、天然水でアルカリイオン水と同じ作用を示す水もある。こちらは整水器で作ったアルカリイオン水とは、成分が異なります。アルカリ天然水には炭酸水素イオンが含まれており、体液より、若干高いアルカリ性です。また、理由はわかっていませんが、磁鉄鉱や石灰岩層を通った水は抗酸化力がとても強いことが知られています。
飲むときに気を付ける点はありますか?
そうだね。たとえ強い抗酸化力を持った水でも加熱処理をしてしまうと、抗酸化力はなくなってしまうので注意が必要。ペットボトルのアルカリ天然水を選ぶときには、非加熱と書いてあるものが良いというわけ。今回説明をした「水素水」、「アルカリイオン水」、「アルカリ天然水」はどれも、抗酸化力が強く、体に良い水なのです。
天然の水素水はあるのですか?
天然水やミネラルウォーターには炭酸イオン水素が入っている水があるんだけど、水素水とは全く作用が異なります。また、ミネラルウォーターにも、なかには水素が入っているものもありますが、数字にはできないほど微量で天然の水素水はないといっていい。
天然物がないなんて意外です!
うん。もし、天然にこだわるのだったら、抗酸化力が高い水素水と同じ作用がある天然水があるよ。水素水は家庭でも作れる機器があり、作りたてで、水素が抜けていない水を飲めます。水素は、非常に抜けやすいので、作ったら、なるべく早く飲んでください。厳密の意味で天然の水素水はないと考えていいと思うよ。ただ、水素水と同じ作用を発揮する天然水は存在する。繰り返しますが、炭酸水素イオンを含む水や磁鉄鉱や石灰岩を長い間浸透してきた天然水などです。
水素水って海外ではどんな反応なんですか?
日本で、水素水が話題になったのは10年ほど前で、認知症の予防に効果があるという研究発表で高齢化が進む日本ではちょっとしたブームになったんだ。初めに紹介した東京都健康長寿医療センター研究所の石神昭人博士と東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)などの研究を、オランダの学術誌「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ」で発表したんだ。2007年には日本医科大学の太田成夫教授の研究チームが「水素の生体への有効性」を国際学術誌である「ネイチャーメディシン」に発表した。これらの日本での研究が海外へ発信したんだ。
日本発信だったんだね。
うん。その当時は海外でも水素水が見直されたり、健康志向の人たちの間で、話題に上ったりした。海外では、航空宇宙局(NASA)で水素の医学的な研究(宇宙飛行において放射線でおこる酸化ストレスのリスクを水素療法で軽減できるかもしれない)が行われています。宇宙飛行士の健康を守るためです。大気中に高エネルギーで飛んでいる、小さな粒子のことを宇宙線といいますが、それらから宇宙飛行士を守るためのものです。主に水素水を米国食品医薬品局で安全性を承認し、水素水を取り入れています。
アジアでは日本だけの人気なの?
いいや。韓国では、水素水の利用は、食品利用が承認されているし、今では、韓国のリゾート地で、水素ガスの部屋、水素入浴を用意して、癒やしだけでなく、アトピーなどの治療に適応しています。中国では、水素を農業に利用するなど、海外でも、水素水、また水素の利用価値を求めて、活用を広げていくと言われている。
ヨーロッパではどうなんですか?
水素水を作らなくても優れた天然水、ミネラルウォーターがたくさん存在するのも事実です。特に欧州産の天然水はほとんどが加熱処理をしていませんから、本当のミネラルウォーターと言えます。
欧州で正式にミネラルウォーターといわれる水の多くは、特定の水源から採水した地下水で、殺菌などの人口的な処理は禁止されているのです。しかし、日本のミネラルウォーターは多くの水が加熱処理をしているんだ。
欧州で正式にミネラルウォーターといわれる水の多くは、特定の水源から採水した地下水で、殺菌などの人口的な処理は禁止されているのです。しかし、日本のミネラルウォーターは多くの水が加熱処理をしているんだ。
ふぅん
欧州では日本と大きく異なるのはこの点です。最大の相違点は殺菌処理をしていないことで、何らかの殺菌をしている水を欧州ではミネラルウォーターとは言わないのです。このことからもわかるように、人工的に手を加えた水素水はあまり、欧州では受け入れられていないのが現状です。水素水の効果は確かなものですが、同じ効果を持つミネラルウォーターは日本にも、海外にもたくさん存在することを覚えておいてください。
今まで知らなかった。水素水についてよくわかりました!
藤田先生ありがとうございました(#^^#)
ナッキーママさん、これからは酸化還元電位の高い水をなるべく飲まないで、水素水にこだわらず抗酸化力が強く、体に良い水を飲むようにしましょう!
藤田先生ありがとうございました(#^^#)
ナッキーママさん、これからは酸化還元電位の高い水をなるべく飲まないで、水素水にこだわらず抗酸化力が強く、体に良い水を飲むようにしましょう!
「水の相談室」では皆さんからの水に関する質問を募集しています。水の権威藤田紘一郎先生に答えてもらえるチャンスですよ。 質問がある方はこちらからお送りください。お待ちしています。m(__)m
著者紹介
藤田 紘一郎(ふじた こういちろう)
1965年 東京医科歯科大学医学部卒業
1966年 第40回医師国家試験合格(代190399号)
1970年 東京大学大学院医学系研究科修了(医学博士 東京大学)
1970年 東京大学医学部助手(寄生虫学)
1972年 順天堂大学医学部助教授(衛生学)
1987年 東京医科歯科大学医学部教授(医動物学)
1995年 講談社出版文化省・科学出版賞 2000年 東京医科歯科大学院教授(国際環境寄生虫病学)
2000年 日本文化振興会・社会文化功労章および国際文化栄誉賞 2005年 東京医科歯科大学名誉教授、人間総合科学大学教授(免疫・アレルギー学)
2015年 東京医科歯科大学名誉教授 現在に至る
主な近著に、水の健康学(新潮新書)、万病を防ぐ「水」の飲み方選び方(講談社+α文庫)、水と体の健康学(ソフトバンククリエイティブ・サイエンスアイ新書)、ボケる、ボケないは「腸」と「水」で決まる(朝日新書)、「体をつくる水、壊す水」(ワニブックスPLUS新書)、など他多数。
※水の権威藤田先生の「水の相談室」は、水に関する疑問に対して、藤田紘一郎先生の回答をわかりやすく対話形式にしてご提供しています。