富田の清水(とみたのしつこ)は、青森県弘前市紙漉町にある湧水です。古くから地元民に親しまれ、現在は生活用水として利用されています。遠方から訪れる観光客も多い名水です。
弘前市は湧水が多く、豊富な水に恵まれた地域でもあります。その中でも特に有名な、この富田の清水についてご紹介していきましょう。
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どこで採水されている?
湧水を守るように木造の小屋が建てられており、そちらで採水することが可能です。
建物内の湧水は6つの水槽に分かれています。順番に1、2番目が飲料水、3番目は洗顔や、野菜・米などを洗うために使う生活用水、4番目はかつての紙漉き用の水、5、6番目は足洗いや洗濯物をすすぐための生活用水と決められています。
昭和初期に紙漉き用水から生活用水となり、それから現在に至るまで、そうしたそれぞれの水槽の使い方は地域の方々によって大切に守られています。1985年には、名水百選にも選ばれました。
アクセス方法は、電車でお越しの場合は、JR奥羽本線「弘前駅」下車後、タクシーで10分です。もしくは「弘前駅」下車後、小栗山行きのバスで「富田三丁目停留所」まで行き、徒歩5分です。
乗用車で向かう場合は、東国自動車道黒石ICから国道102号線を経由し約20分です。
名水の由来
富田の清水は、貞享3年(1686年)頃に、弘前藩主であった津軽信政が和紙職人の熊谷吉兵衛を招いたことが始まりだと言われています。古くからこの地域に湧水はありましたが、熊谷吉兵衛が紙漉き法を伝える際にこの清水を利用したことで、より名水として親しまれるようになりました。
湧水のあった土地の旧名が「富田村」であったことから、「富田の清水」と呼ばれるようになりました。富田の名前は清水として残り、地名は製紙法である紙漉き技術が広まったことから「紙漉町」へと変わり、現在もその町名が使われています。
町に製紙法が導入されて以来、江戸時代から昭和初期まで200年以上に渡って紙漉き用の清水として使われました。それ以降は生活用水として今も地域の人々に利用され、現在も保全が行われています。
ミネラル含有量と味わい
富田の清水は年間を通じ約15〜16度に保たれた、硬度約72.5mg/Lの超軟水です。飲用可能で、スッキリした味わいに、観光客のみならず近隣の方々もよく採水に来られます。
ただし真水に近い超軟水のためミネラル含有量は少なめで、建物内にも、煮沸するよう張り紙がしてあります。市による週1回の清掃、月1回の水質検査などが定期的に行われ、水質は名水認定当時のまま清涼に保たれています。
採水地周辺の観光地
弘前市は青森の中心地であるため、観光行事がたくさんあります。冬には「弘前城雪灯籠まつり」が行われ、弘前城の雪景色が灯籠でライトアップされます。
春は弘前城や弘前公園を彩る「弘前さくらまつり」が見ものです。5月には弘前市りんご公園で「弘前りんご花まつり」も行われます。特に有名なのが、夏に行われる「弘前ねぷたまつり」です。このお祭りには、毎年全国各地から多くの観光客が訪れます。
名産品は林檎が有名です。生の果実だけでなく、林檎ジュースやアップルパイなどのお土産品も人気の商品です。林檎ジュースは、地元の豊かな名水と林檎を使って作られています。
グルメでは、弘前名物じゃっぱ汁が人気となっています。こちらは鱈のあらを内臓や頭なども入れ、味噌で煮込んだ郷土料理です。
富田の清水の風景
富田の清水
出典:FLICKR
1985年に日本名水百選に選ばれました。近くには富田稲荷神社も有ります。
https://flic.kr/p/8CLbhH
富田の清水
出典:FLICKR
木造小屋の中の雰囲気。水の水質検査は定期的に行われているそうです。
富田の清水
出典:FLICKR
製紙法が導入された際に、紙漉きに使われていたそうです。
6つの水槽ぞれぞれで用途が決まっています。
この水のために立ち寄る観光客も多いですが、通勤途中の人や近所の主婦も多く訪れます。
どこで購入できる?
富田の清水は、ミネラルウォーターなど商品化はされていません。実際に現地に訪れ、その場で飲むか採水することをお勧めします。
アクセスマップ
おわりに
伝統技術・紙漉きに使う水から生活用水と移り変わりながら、地域の人々の暮らしを支えてきたのが、富田の清水です。北国・青森の清涼な名水を、ぜひ楽しんでみてください。
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