雄川堰(おがわぜき)は、群馬県甘楽郡甘楽町小幡の城下町に造られた用水路です。稲含山から流れる一級河川である雄川を水源とし、小幡地区北方の水田地域を潤しています。用水路が造られた正確な年は不明ですが、江戸時代初期に織田氏及びその後を継承した松平氏によって整備・改修などがされたと言われており、400年の歴史があると考えられています。
ここでは、その雄川堰の水としての特徴についてご案内しましょう。
この記事のもくじ - 項目をクリックで該当箇所へ
どこで採水されている?
雄川堰は名水百選のほか、疎水百選にも選ばれている水源です。現在では地域の生活・灌漑用水として整備されており、基本的に採水・飲用することはできません。洗濯や野菜などの洗い場として昔は使われることもありましたが、現在ではそうした習慣もなくなり、景観の美しさを楽しむ名水として残されています。
湧水地へは、JR高崎線高崎駅で上信線に乗り換え、上州福島駅を下車し、南に20分ほど歩けば辿り着くことができます。乗用車でお越しの場合は、上信越自動車道富岡ICから主要地方道富岡・神流線を南へ10分ほどです。付近には観光用無料駐車場も整備されているため、自家用車で向かっても問題ありません。
名水の由来
1616年(元和2年)、織田信長の孫にあたる織田信良が福島に入り、小幡藩政を開始しました。雄川堰が用水路として整備され始めたのは、その時期ではないかと考えられています。
『甘楽町史』には、「1642年(寛永19年)に小幡陣屋が完成し、その際に雄川堰も改修され、現在見られる形になったと考えられる」と記されています。この時に3ヶ所の取水口を設け、陣屋内の生活用水や庭園に引水されるようになりました。疎水沿いの美しい桜並木も、江戸時代から現在に至るまで400年の間受け継がれています。
地域住民の生活用水として親しまれていた頃を思わせるのが、雄川堰で見られる「芋車」です。小さな水車のようなもので、昔はこれに野菜を入れて川の水で洗っていました。また、1865年には巨大な緑色片岩を7つ組み合わせた「吹上の石樋」も作られました。これは7ヶ月の期間と250人の手をかけ作られた石樋であり、これが作られたことによって下流へも水を漏れなく送れるようになりました。
ミネラル含有量と味わい
水質は弱アルカリ性であり、水温は年間を通して約9度です。名水選定当時と変わらず良好な状況を保っています。
地域住民による毎週の美化活動や、用水組合による年3回の清掃作業などにより、水質が保全されています。
採水地周辺の観光地
近隣の有名な観光地としては、世界遺産に登録された「富岡製糸場」を挙げることができます。雄川堰より車で10分ほどの距離であるため、雄川堰を訪れた後にここを訪れる観光客は少なくありません。
甘楽町内には、国指定名勝の楽山園があります。こちらは面積2.3平方kmにも及ぶ、織田氏ゆかりの大庭園です。多くの茶室が設けられ、日本庭園の美を思う存分堪能することができます。
また、毎年4月には湧水地周辺で桜祭りが行われています。疎水沿いの城下町を武者行列が闊歩するお祭りであり、毎年多くの観光客で賑わいを見せています。
特産品としては、雄川ねぎや上州和牛、地元のりんごを使ったりんごジュースなどが有名です。特産のキジ肉、もちきびなどが使用された桃太郎ごはんも、甘楽の有名なグルメです。
雄川堰の口コミ
雄川堰 pic.twitter.com/FATFEBBJ7w
— ひろぽむ (@hiropom_dayo) 2015年11月4日
自然豊かな町並みに溶け込んでいます。
群馬県甘楽町にある、日本の名水百選に選ばれた雄川堰(おがわぜき)という所に行ってみた pic.twitter.com/1hGw5G0vCv
— frog_hand (@frog_hand) 2014年11月24日
桜並木に沿ってゆったりと流れる雄川堰。桜の咲く時期は絶景です。
群馬県甘楽町にある、日本の名水百選に選ばれた雄川堰(おがわぜき)という所に行ってみた pic.twitter.com/1hGw5G0vCv
— frog_hand (@frog_hand) 2014年11月24日
生活用水として使われてきたため、所々に洗い物ができる場所が作られています。
雄川堰の風景
雄川堰 (群馬県甘楽郡)
出典:FLICKR
城下町の面影が残る町並みと川のせせらぎに癒やされますね。
7_雄川堰3
出典:FLICKR
雄川堰の道沿いは江戸時代にタイムスリップしたような情緒があります。
雄川堰 (群馬県甘楽郡)
出典:FLICKR
昔から生活用水として使われていて、名水百選の中でも生活用水に指定されているのはここだけんなんだそうです。
水路沿いには趣のある古い家並みが続いています。
風情があって、散歩をするのにとても気持ちの良い雰囲気ですね。
春になると桜並木がとても綺麗で名所になっています。
どこで購入できる?
飲用水としての利用がされていないため、ミネラルウォーターなどの販売も行われていません。
アクセスマップ
おわりに
ここまで、雄川堰の水について紹介してきました。現在では飲むことができないものの、雄川堰は今でも周りの風景に溶け込んでおり、観光スポットとしての役割を果たしています。現地を訪れれば歴史や自然を感じることができるため、興味が湧いた方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。
コメントを残す