千葉県にある名水として有名な「熊野の清水(ゆやのしみず)」は、弘法大師にまつわる伝説が残されている湧水です。のどかな田園地帯が広がっている周辺には、公園や地元で生産されている野菜の直売所などもあり、週末には多くの観光客が訪れる場所となっています。
この記事では、熊野の清水に関する情報を紹介していきます。
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熊野の清水はどこで採水されている?
熊野の清水の採水地は、千葉県長生群南町佐坪にあります。1985年には環境庁(現環境省)が選定する名水百選にも選ばれました。
採水地周辺は、緑に覆われた大自然が広がっています。熊野の清水周辺の田園地帯では、湧水を利用して農産物やお米の生産が行われています。
熊野の清水の採水地へは、JR外房線の茂原駅からバスを利用する手段が便利です。バスは「小湊バス」と「都バス」の2社があり、いずれの場合も市野々経由の大多喜行きに乗り市野々バス停で下車します。バスの所要時間は約30分であり、バスを降りたら徒歩20分程度で熊野の清水に到着します。
車で行く場合には、圏央道の茂原長南ICが最寄りのインターチェンジです。このICを降り、県道147号線に車を走らせれば採水地へたどり着きます。
熊野の清水の由来
熊野の清水には、「弘法の霊泉」という別名があります。その昔弘法大使が全国行脚をしていた時、布教のために熊野の清水に立ち寄りました。そこでは周辺の農民たちが水不足で苦しんでいましたが、彼らの姿を見た弘法大使が、法力によって水を湧き立たせたといわれています。この伝説に基づいて、このような別名が誕生しました。この遺徳を称え、竜動寺には弘法大師の坐像が祀られています。
また、「鶴岡事書日記」の記録によると、この場所は室町時代には武家の守護神として崇められていた鶴岡八幡宮の社領となりました。熊野の清水は約100年もの間、鶴岡八幡宮直営の湯治場として栄え、「湯谷(ゆや)」と呼ばれていました。そのため、当時はこの地区を総括して湯谷と呼ぶようになり、これが熊野の清水(ゆやのしみず)の名前の由来になっています。
熊野の清水のミネラル含有量と味わい
熊野の清水の水量は平均すると、毎分48Lです。湧水は一宮川に合流して太平洋まで注いでいます。
水の硬度は1Lあたり約54.5mgであり、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム、硝酸イオンなどの成分が含まれています。飲んだ時に甘味を感じることができ、さっぱりとした味わいです。
熊野の清水周辺の観光地
隣接した熊野の清水公園は、湧水により育まれた植物の宝庫です。四季に応じてさまざまな花が咲き乱れています。採水地付近には直売所もあり、週末には熊野の清水やこの土地で生産された農産物を求めて、直売所に多くの観光客が訪れます。
熊野の清水を使ったコーヒーやお蕎麦を提供している飲食店も、採水地付近に見られます。湧水を使って8時間かけて抽出する「水出しコーヒー」はすっきりした後味であり、喉の渇きを潤すのにぴったりということで人気があります。お蕎麦は自然食材を使った手打ち麺です。
また、この地域は周辺にゴルフ場が多く見られます。ゴルフに行ったついでに、採水地に立ち寄る観光客もめずらしくありません。
熊野の清水から7kmほどの場所に、日本で唯一の四方懸造の建築様式をした「笠森観音」があります。観音堂までは駐車場から木々に囲まれた階段を上っていきます。澄んだ空気に包まれている清らかな空間です。
熊野の清水の口コミ
熊野の清水アクセスマップ
熊野の清水はどこで購入できる?
熊野の清水を販売しているお店はありません。湧水はペットボトルを持参すれば、持ち帰ることができます。ただし、飲用する場合には煮沸することが推奨されています。
おわりに
ここまで、熊野の清水について紹介してきました。熊野の清水はいくつかの伝説が残されている名水であるため、パワースポットとしても認識されています。興味を持った方は、独特の雰囲気や伝説を持つ熊野の清水に是非一度訪れてみましょう。
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