福島県の磐梯山西側に連なる猫魔ヶ岳、厩嶽山(うまやさん)、古城ヶ峰の山麓一帯には、多くの湧水源があることで知られています。
ここでは、その磐梯西山麓湧水群と呼ばれる湧水群の中でも代表的な「瀧ヶ沢湧水」の由来や歴史、採水地情報などを紹介していきます。
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どこで採水されている?
雄大な磐梯山の西麓にある磐梯町は、磐梯山麓からなだらかな丘陵地が広がりを見せる高原の町です。周辺の山々や森林には、雪解け水が集まった清水や滝が点在し「名水のまち」と言われています。
この一帯の湧水は、磐梯西山麓湧水群として1985年環境庁による「名水百選」に選定されました。その代表的な湧水「瀧ヶ沢湧水」は、磐梯町の観光名所でもある慧日寺から1kmほど離れた森林の中にあります。
大きな岩の間から絶え間なく湧き出る湧水は、猫魔ヶ岳の火山活動によってできたと言われ、夏でも水温9度の冷水が枯れることなく湧いています。
【磐梯町へのアクセス】
車で:郡山から磐越自動車道で約30分。会津若松から磐越自動車道で約20分。
電車で:郡山駅から磐越西線で約1時間、磐梯町駅下車。会津若松駅から磐越西線で約20分。
名水の由来
その昔、巨大な岩の間からこんこんと湧き出る湧水は、干ばつの時にも決して枯れることがないと言われていました。
江戸時代、ここでは会津藩の命によって大規模な雨乞いが行われ、その際に祭られた龍の権現像や、龍のおとし子にまつわる文書が残っています。
また戦前と戦後にかけての雨乞いでは、龍のおとし子や五穀が奉納され、僧侶が読経を行ったと言われています。
ミネラル含有量と味わい
硬度が14.5 mg/l、pHが 6.8と弱酸性の軟水で口当たりが良く、まろやかな味わいです。
ナトリウムは100mlあたり0.45 mg、カルシウムが 0.38 mg、カリウムは0.18 mgとミネラルがバランスよく含まれています。
昆布やかつおで取る出汁のうまみ成分が引出されるため、和食や煮物に最適な水です。また、軟水でお米を炊くと、ふっくらとやわらかなご飯に炊き上がります。
成分表(100ml)
pH値 | 6.8 |
---|---|
カルシウム | 3.8mg |
マグネシウム | – |
カリウム | 1.8mg |
ナトリウム | 4.5mg |
採水地周辺の観光地
【史跡慧日寺跡】磐梯町駅から徒歩約20分
平安時代初期に南都法相宗の高僧である徳一によって開かれた寺院で、東北地方では最も古い寺院のひとつとして知られています。1970年に国の史跡に指定され、現在復元工事が進められています。
広い寺跡は、磐梯山慧日寺資料館をはじめ慧日寺金堂や薬師堂、仁王門や不動院龍宝寺不動堂など見どころが満載です。
【磐梯そば道場】磐梯町駅から徒歩約15分
磐梯山のふもとに一面に広がるそば畑に溢れる白い花のじゅうたんは、秋の磐梯町を代表する風景のひとつです。
地元のそば粉と磐梯西山麓湧水群の清冽な湧水を使用してできた「磐梯そば」は、高原の気候や風土も加わって各別の味わいです。ここでは熟練したそば職人のもとそば打ちの体験ができます。
【蛇追ヶ滝(不動滝)】磐梯町中心地から県道207号、64号を裏磐梯方面へ約8km
その昔、弘法大師が命を受け磐梯山の魔物である大蛇を、独鈷(とっこ)で追い払ったという伝説からその名前が付けられました。
滝の裏にある洞窟には不動明王が祀られており、近隣には不動堂が残っています。
ふくしまの水30選に指定され、四季折々の美しい水流を見せてくれます。
磐梯西山麓湧水群の口コミ
どこで購入できる?
「瀧ヶ沢湧水」は、現在市場では販売されていませんが、近隣にある磐梯山慧日寺資料館の庭園に湧出した水が引水されており、訪れる方に無料で提供されています。
近年では、ミネラルウォーターとして地元の「道の駅」などで販売するための準備が進められています。
アクセスマップ
おわりに
福島県磐梯町の名水「磐梯西山麓湧水群」と、その代表的な「瀧ヶ沢湧水」について、採水地の特徴や由来、アクセス情報などを紹介してきました。
磐梯山慧日寺資料館をさらに進んで森林の遊歩道を行くと、巨大な岩の間から湧き出る自然そのままの「瀧ヶ沢湧水」を飲むことができます。
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