日本には、百選に名を連ねる有名な名水から、名も無き湧き水や井戸にいたるまで、全国津々浦々名水と呼ばれる自然水が存在します。
ここでは、北海道の利尻山に湧き出す名水、甘露泉水について、その特徴や味わいをご紹介します。
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どこで採水されている?
北海道北部に位置する利尻島の中央にあるのが、北海道の富士山とも称され、日本名山百選にも選ばれた名峰、利尻山です。
甘露泉水が湧き出しているのは、その利尻山の登山道のひとつである鴛泊登山ルートの3合目付近で、稚内から1時間40分ほどフェリーに乗り、鴛泊港で下船してから1時間15分ほど歩いた場所にあたります。
甘露泉水は利尻山の降水や雪解け水が地下に浸み込み、長い年月をかけてゆっくりと育まれた湧水で、1985年(昭和60年)には環境省により名水百選に選定されました。名水百選の中でも、日本最北端の名水として知られています。
悠然と水が湧き出す水場は登山者のオアシスとなっており、登山者が喉をうるおす姿がよく見られます。容器を持参すれば、自由に水を持ち帰ることもできます。
名水の由来
利尻山は繰り返されてきた火山活動の噴出物が積み重なってできた成層火山で、約9万年前には現在のような山が形成されていたと考えられています。
利尻島で最もよく見られる玄武岩質の溶岩には丸みを帯びた細かい穴が無数に空いていて、山頂付近にもたらされた雪や雨は、この無数の穴を通って火山内部に浸透します。その水が再び山麓の低地に顔を出すまでには20年から30年かかると言われています。
こうして長い年月をかけてろ過され、地表に湧き出した水が甘露泉水です。火山性の地質をゆっくりと浸透することで、ミネラルたっぷりの上質な水となり、味わいはまろやかで「甘露泉水」という名前は、飲んだ誰もが口をそろえて「甘い」と言うことが由来だと言われています。
ミネラル含有量と味わい
誰もが甘いと評する甘露泉水の味の秘密は、ミネラル成分の量にあります。ミネラルとは水の硬度の成分であるカルシウムやマグネシウムなど、水中に溶けている鉱物質のことです。
ミネラルが多すぎる水(硬度が高い水)は苦みや渋みなどを感じるようになり、反対にミネラルが少なすぎる水(硬度が低い水)は淡白で「こく」のない味になってしまいます。
甘露泉水1リットルに含まれるカルシウムの量は3.0ミリグラム、マグネシウムは1.7ミリグラム、ナトリウムは9.3ミリグラム、カリウムは0.96ミリグラム、硬度は14.1ミリグラムの超軟水です。
軟水は料理にも適しており、素材やダシの旨みを大切にする和食や、コーヒー、紅茶、ウィスキーの水割りなどに向いていると言われています。
また、甘露泉水のペーハー値は7.7の弱アルカリです。人の血液のペーハー値は7.4前後で、この値に近い甘露泉水は身体に浸透しやすく、身体に負担をかけずに水分補給できます。
成分表(1L)
pH値 | – |
---|---|
カルシウム | 3.0mg |
マグネシウム | 1.7mg |
カリウム | 0.96mg |
ナトリウム | 9.3mg |
採水地周辺の観光地
甘露泉水の採水場の周辺は、林野庁制定による「全国森林浴の森百選」のひとつに制定されており、住民や登山客の憩いの場となっています。
日本百名山の利尻山を眺め、森林浴の森百選の奥深い森を歩き、さらに名水百選の甘露泉水を味わうという、「3つの百選」を同時に楽しむことができるスポットになっています。
また、8月には、利尻島の夏最大のお祭りである「北海島まつり」が開催され、多くの観光客が訪れます。
甘露泉水の口コミ
アクセスマップ
どこで購入できる?
甘露泉水は、ポンプで汲み上げて空気に触れないままボトリングされたものが商品化されており、ネット通販で購入することができます。
サイズは500ミリリットルと2リットルの2種類で、500ミリリットルサイズは24本から、2リットルサイズは2本から購入することができます。
以前は「利尻の水」として販売されていましたが、現在は商品名が変更されています。
おわりに
自然豊かな利尻の山が長い年月をかけて育んだ日本最北の名水、甘露泉水。地元の人たちや登山者たちの喉をうるおす名水を、あなたも一度味わってみてはいかがですか。
masatoms says
この湧水を飲んだ時はあまりの美味しさにびっくりしました。
利尻山を下山して飲んだからかな。
喉も乾いていたからかな。
私にとっては日本一美味しい水です。